「念のため、今度のレースについて、もう一度確認しておきましょうか」
不意に、波佐間の声がした。
「今度のレースは、十二月二二日。終業式の日ですね。場所は僕ら山上の校内。三対三の団体戦で、三枝さんと浅沢が一回戦。九重さんと寺城さんが二回戦で、神庭君と僕が三回戦。全てラリー勝負ということで良いですか?」
学校の階段を疾走する階段部のお話の第八弾。今回は、生徒会選挙も終わり、ついに天栗浜高校と山上桔梗院学園の階段レース勝負が始まるお話です。
頑張るなあ、神庭幸宏。生徒会役員のうち、男が幸宏と筋肉さんしかいないという中、普通に考えたら無謀な計画を発動させちゃって、女の恐ろしさを知らされたかと思ったら、突き進むんですから、たいしたものです。まあ、孤立無援になるのかと思ったら、意外にも御神楽さんが、目立たぬよう手助けしてくれてたってのが大きかったと思うけど。
御神楽さんのみならず、どこの乙女だよとか言いたくなる井筒の陰からの支えがあったのも大きいだろうなあ。っていうか、御神楽さんが、井筒が生徒会室に入ってないって話をするまでは、本気で井筒×神庭な世界を想像してたから危なかった。って、余談過ぎる。
余談といえば、役員会議で、女性陣に囲まれた筋肉さんが、震えてるところに大爆笑。
という具合に、生徒会方面は大変だけど頑張ってるなあという感じでしたけど、個人的にはそっちはわりとどうでもよくて、気になるのは、階段レース話。レースに向けて、地道に勝算を固めていく波佐間の姿は、とてもスポーツマンらしさを感じたんだけど、顔で笑いながら心に暗いものを隠してることが見えてくるあたりで、ひょっとしたら、逃避に近いものがあるのかなと感じてきて、なんともやるせない気分になりました。
悩むことがあっても突き進む神庭とは、違ってるようで、でも似てるような、なんか不思議な関係だなあ。
身体的能力差は否めず、ではどうやって戦っていくかを悩む神庭でしたが、忙しい生徒会方面では御神楽さんが、戦術方面では、階段部のメンバーがと、みなの支えがあったからこそ、自信を持って戦うというところまでたどり着けたあたりが、個人的にはすごく良かったです。
結局のところ、周囲の人と協力し合ってきた神庭と、周囲を拒絶し一人で戦ってきた波佐間というあたりが、勝負を分けたんでしょうね。
いやあ、面白かった。ここ数巻は、階段レースがなくても面白かったというか、むしろ無くていいよねと思ってましたが、今回は、階段レース方面が、熱かったです。
最後に聖夜のパーティで、神庭がいろんな女の子からアプローチを受けてるところに、ニヤニヤしちゃいましたが、まさかあんなオチが待ってるとは思わなかったなあ。もし、あれが無かったら、いったい神庭は誰を選んだんだろう?
とても気になります。
学校の階段8 (ファミ通文庫 (か8-1-8))
櫂末 高彰
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