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[山下卓] BLOODLINK 雪花 (上)

地蟲から生還した二人が見たという天使の手がかりを得るために、八神と和志は、行方不明となった伊野部夏美を捜し求めた。だが、行く先々で感じるのは、温もりを求めながら、より悲しみに包まれていく彼女の孤独だった。やるせなさに、苛まれていたとき、和志はついに夏美の姿を目にして……

人でありながら人を喰らうようになる地蟲に感染した少女を救うために、地蟲成虫となった夏美を捜し求めるお話ですが……、重苦しいものが、ずっと心を抑えるような、そんな雰囲気がずっと漂っていましたね。手がかりが得られそうで得られない展開が、なんとももどかしい。

ようやく見かけた手がかりは、よりによって人への被害をもたらす羽目になったんですが、被害云々よりも、夏美と沙由理、隼人と慶吾、そして葉村の五人で共に過ごしていたときの過去は、心に突き刺さるものがありました。幼いといえばそれまでかもしれませんが、歯車が、最悪のタイミングでズレたことが、こうまで響いてくるなんて……。
しかも、そのことを「男」側から見たときと、「女」側から見たときで、別の見え方をするんですから、人とは怖いものだと思った次第。

それにしても、まだ大丈夫だと思いながらも、突如として心を揺らがす八神の姿などを見ていると、いつ何が起きるかわからないまま、生き続けなければならないことのプレッシャーを感じますね。同じことは和志にも言えますが、カンナという存在の明るさがある分、まだ救われるものがあるのかもしれない。
そういえば、普段、何かと強気なカンナが、飄々とした大人にやり込められるところは、すっごい可愛かったなあ。ああいう日常的なシーンが、今回あまりなかったのは残念ですね。いや、あれば

後半に入ってから、一気に物語が動き出して、今までバラバラに見えていた背景が、ひとつひとつカチっと繋がりが見えていく展開に引き込まれまくり。まさかそっちから来るとはなあ。

天使の正体についても驚きだけど、それだけじゃなく和志たちに対しても、今までとは違った視線が外部から感じられて、ううむ、いったいどうなっていくんだろう。
最終巻となる下巻が待ち遠しくて仕方ありません。

BLOODLINK 雪花 <上> - 山下 卓

BLOODLINK 雪花 <上>
山下 卓

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