時計公爵とも呼ばれているアズベルグ家に、結婚の挨拶をしに行くという話を聞いて、アリシアは嬉しくなった。久しぶりに城から出れるのだ。それもカシュヴァーン様と一緒に!
そしてアズベルグ公爵の家へとたどり着いた一行だが、アズベルグ家の家令はそっけなく追い払おうとし、またカシュヴァーンも、いつもにも増して険しい表情をしていた。そんな空気に気づかないアシリアは、ふらりと屋敷の周りを散歩して、アズベルグ家の主と出会ったが……
没落貴族にして「死神姫」と呼ばれる怪奇小説大好きなアリシアと、暴君と名高いカシュヴァーン・ライセンが結婚したら、以外にもマイペースな奥様に乗せられて、というちょっとコミカルなお話の第二弾。今回はアズベルグの元領主の家系であるディネロ・アズベルグの家に、二人が結婚報告へいくというお話です。
ああ、アリシアがすっげー可愛い。悪気はないのに、白昼堂々と夫やら使用人たちを毒殺する計画を企てるんですから、そりゃ愛人候補のノーラもさすがに引くわ。いや、性格には、正確には毒から身を守るべく鍛えてあげようという親切心なんだけど、みんなが可哀想だからやめて上げてね。
そんなこんなで、ちょっとズレてる奥様の行動に、いろいろニヤつかせていただきました。
カシュバーンも、かなりアリシアを気に入りましたよねー。守り石なるものをわざわざ拾って贈るんですから。しかも、そのあと、酔っていたとはいえ、あまりにも自然に、あまりにも優雅に、そっと妻に口づけするシーンは、意表をつかれすぎて、クーとなりました。ああ、こやつはこういう格好つけシーンがハマりすぎる!
しかも普段は余裕を見せているのに、アリシアに危険が迫ったり、男の手が伸びてくると、いつになく焦る姿を見せるところに、オヤオヤ~と意地の悪い笑みを浮かべたのは僕だけじゃないはず。
ともあれ、アズベルグ家を訪れるわけですが、現領主と前領主ってことで、なかなか根深いものがあるようで、本人たちはともかく、使用人たちの行動に複雑なものを感じます。それだけじゃなく、なぜここを訪れたのかということが、なかなか見えないため(カシュバーンとトレイスが何かを隠してるのは見え見えなだけに)、ヤキモキさせられる。
時計公爵ってのは、まあ、予想通りのものでしたけど、ディネロの人柄を現しているようで、
ま、その間にもアリシアイベントが炸裂するんですけどね。他人の家で、はじめて同じベットを共にしたときの彼女の反応がたまりません。いや、お子様だとは思ってたけど「お腹痛い」という反応でくるとは思わなかった!愛らしいなあ。笑いながら、妻を撫でる姿に、夫の優しさが伝わってくる。
こういうシーンがあるだけに、無邪気に、自分は買われたと言ってしまうアリシアの言葉が、グサグサきますね。悪気はないとわかっているだけに、カシュバーンも辛いなあ。
アズベルグ家を訪れた理由が明かされてくるにつれて、結構なサスペンスが繰り広げられましたが、そのおかげで、確執のあったディネロとの間に、友情らしきものが見えてきたのは嬉しかったなあ。暴君と名高く、誤解されることの多いカシュバーンだけに、こういった人がひとりでも増えてくれればと思います。
ああ、面白かった。前作よりもパワーアップしてますね。これはオススメです。
そういえば、ノーラがひょっとして……という感じが生まれてきたような気がしないでもないけど、まだまだかな。個人的には、ああいうちょっと弱弱しい男のところに行ったほうが、彼女も映えると思うんだけど、さて、どうなるのかしら。
アリシアとカシュバーンの仲がどうなっていくのかということ共々、気になりますね。
死神姫の再婚 -薔薇園の時計公爵-
小野上 明夜
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