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[岡本タクヤ] 千の剣の舞う空に

子供のころ、格闘技の試合を見た衝撃が忘れられなかった真一は、強くなりたいという思いから空手をはじめた。練習に明け暮れながら、ただ一回の事故で、すべては白紙となった。日常生活に支障は出なくとも、もう最強という道はない。
それから数年が経った中三の秋に、真一は「世界最強」という販促に惹かれてオンラインの格闘ゲームを始めた。そこで出会ったアスミという女剣士と、いつしか行動を共にするようになったが、高校に入学して夏休みが始まるころ、真一はアスミがクラスメイトの明日美であることに気づいて……

オンラインゲーム上では毎日のように会っていながら、リアルの世界では、言葉を交わすこともない。自分は気づいているけれど、相手は気づいていないという状態で、ゲームだけでなく、リアルでも二人が絡みあうことになった素敵な素敵なボーイミーツガールです。

あー、これいいなあ。はじめは、真一の空虚さとかがあまり伝わってこなくて、ただただ薄いだけだったんだけど、リアルの場で、明日美と文化祭実行委員をやることになってしまったところから、だんだん面白くなりました。
クラスに友人などおらず、明日美との会話も弾まないんですが、それでもアスミとゲーム上で組んでることを言い出せないところに、真一の複雑な気持ちが見えてきて、またそんな気持ちを抱えながら、ゲームで行動を共にするうちに、さらに彼女が気になっていくところが、とても良かったです。

特に彼女の秘密を知って、そして彼女がどうしても文化祭を成功させたいと言い出した理由が見えてからの、真一の行動には、ああ、彼も熱い思いを持っていたんだなと感じるものがありましたね。あまり恋という気持ちが前面に出てくるわけじゃないんだけど、妙に気持ちが伝わってくるものがあって……、青春っていいなあと思いました。

闇なるプレイヤーの語りは、ちょっとアレでしたけど、切なく終わるのかと思いきや、彼女が見せてくれた強い目に熱くさせられて。あの試合は、いつまでも続いてほしいと思うものがありました。最後、別のゲームに手を出すところに、彼の思いを感じて、嬉しく思う。

いやあ、面白かった。こういう雰囲気のお話大好きです。
次にどんなお話を見せてくれるのか楽しみですね。

第9回えんため大賞優秀賞受賞作。

千の剣の舞う空に - 岡本 タクヤ

千の剣の舞う空に
岡本 タクヤ

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