学校で事件が起きたり、生徒が何かに巻き込まれたりしたとき、なぜかあたしに相談が持ち込まれ、そのたびに不本意ながら解決していたら、いつの間にか、あたしをお姉様と呼ぶ人たちが増えていた。好意は嬉しいが、女の子に告白されてもと悩んでいた千花は、ある日、友人の家へと遊びに行く事になったが、ふと昔の嫌な気持ちを思い出して……
ごめんなさいね、乱崎家のみんな。
今回は―、あたしが主人公だ。
というわけで、乱崎家の長女・乱崎千花が語り手となり、姫宮時代の暗い過去や、家族への思い、女子高の友人との交流、初恋の人と出会いなどが描かれる番外編の短編集です。
これはいい。前短編「番外そのいち」は、無理やり詰め込んでる感があって、ちょっとノレなかったんですが、本編では、なかなか活躍しきれない(他の人が目立ちすぎるから)千花の内面がいろいろ見えて、とても良かったです。
収録されているのは、「ビタミンCの森」「マイちゃん破壊魔伝説」「乙女心ラビリンス」「ミルクシュガーキス」の四編ですが、一番面白かったのは「乙女心ラビリンス」かな。
ちょっと太ってしまった千花と友人の鞠原万理が、ダイエットでやせ具合を競争していたら、先に脱出した方の体重が減るという迷路に巻き込まれたお話。
乱崎家に来てからは、何かと大人な千花だったので、喧嘩友だちみたいな人がいるというのは、ちょっと意外に思いましたが、他愛もない喧嘩が微笑ましい。そんな感じで、いがみ合っていた二人が、試練を乗り越えるうちに、いがみ合っていた二人が、心のうちを明かして仲良くなっていくところは、お約束ではあるけれど、とても良かった。
じんわりなところもさることながら、笑いもいろいろありました。迷路のクリア条件として、乱崎家の家族それぞれと対決しなきゃいけなくなるんですが、いや、笑った笑った。優歌を相手にしたときの千花が最高。
それにしても、妙に家族の視線がおかしいなと思ったら、まさかそんなオチが待ち受けているとは思いませんでしたよ。やってくれるぜハイテンション女子高生マイちゃん。
そのマイちゃんこと、恋町麻衣子と千花の交流を描いた「マイちゃん破壊魔伝説」も良かったなあ。お姉さまお姉さまとなついてくるのに、自分を殺してほしいと頼むのはどういうことかと思いましたが、そんな疑問を余裕で吹っ飛ばすテンションの高さが、面白おかしい。
さすがの千花も逃げの一手でしたが、かつての自分を思い出して、頼ってくれた人を助けようとする心境が良かったなあ。今の家族がいるから、心に余裕が持てるということが伝わってくる最後が良かったです。家族の集合写真イラストは、はちゃめちゃだけど、楽しさが伝わってくるなあ。
「ビタミンCの森」では、重く暗い過去を思い出しながら、それでも最後の一歩を踏み越えなかった原因が、ラストで繋がってくるところにニヤとさせられ、「ミルクシュガーキス」では、銀夏と出会った千花の子供らしい好意を見せられて、ミルクシュガーキスな脅迫状問題のドタバタには、姫宮とその関係者の心の痛みを感じましたが、最後に、自分が受けた温かさを、今度は自分が返してあげたいと思う千花の思いに、ぎゅっとされる温かさを感じました。
いやあ、良かった。いつもの狂乱のノリではないですが、シリアスな空気の中に、笑いと温かさを見せてくれました。最近の狂乱の中でも、一番いいかもしれない。
日日日作品でいうなれば、「私の優しくない先輩」風味が好きな人なら、楽しめると思います。
オススメ。
狂乱家族日記 番外そのに
日日日
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