異世界からやってきたお姫様、まだ十歳ほどのアネモネと過ごす日々は、平和で楽しいものだったが、彼女の辛い境遇を思うと、何の役にも立てていない自分に、師走は焦りを覚えていた。
そんなある日、初めて出会ったクラスメイトの鴇野に、ダーリンと呼ばれた直後、裁ちバサミを突き立てられて……
好きな子のために、何も出来ない自分に苛立ちを覚えながら、周囲の人に支えられて、成長していく男の子のお話というところかな。
何といっても素敵なのはアネモネと師走の関係ですよね。一緒に動物園へ行ったときの描写は、素晴らしかったです。素直になれず、でもその手をつかみたいアネモネの気持ちとか、そんな姫様を見つめる師走の心遣いに、優しさと温かさを感じました。
読んでるだけで、姫様の楽しさが、師走の幸せが伝わってきましたね。
そんな日常が師走の焦りから壊れていくんですが……やっぱり自信を失ってたからなのかな。師走自身は、アネモネが側にいてくれるだけでと思っていただろうに、自分はアネモネにそう思われていると思えなかったんですから。
アネモネの一番でありたいと思っていたのに、アネモネの秘密を知りえなかったことにショックを受けて、他の人に心の隙間を埋めるような行動を取ったところには、心に痛いものを感じました。 なまじ挫折を知らない人だっただけに、「出来ない事がある」という状態がきつかったのかもしれませんね。
焦りから不甲斐ない行動をして、ついには守りたいアネモネまでを傷つけてしまって。
落ち込む師走でしたが、そんな彼を引っ張り上げた妹の睦月が素晴らしかったです。口は悪く、態度もきついものがあるけれど、言葉の端々に兄を思う気持ちが伝わってきたなあ。いや、ほんと素敵でしたよ。その後の精一杯の甘えにもやられました。う、可愛すぎ。
ここから怒涛の展開になってましたけど、今までいろいろなものから逃げ出していた師走が、何をやりたかったのか自覚して、スタートラインへ立つ決意をしたという展開が良かったなあ。
アネモネを守れた。そのことが伝わってくるシーンの幸せさに、温かいものを感じました。
いやあ、面白かった。
最後は普通にハッピーエンドになるのかと思いきや、もう一歩、進んだものになってるというか、若き二人が、まず自分の道を歩もうとする姿がとても良かったです。
これで完結だなんて寂しいですが、この二人ならきっと、幸せになってくれるでしょうね。アネモネと素直な気持ちが伝わってくるラストが、もう、大好き。
マイフェアSISTERシワス、ゴハンの時間じゃぞ?
竹岡 葉月
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