「リーンっ。待たせたな。いますぐ助けてやるから、待ってろよ」
その言葉が真実であることを、リーンは知っている。どんなときだってテオは、自分を助けに来てくれるのだ。
だからリーンは、力強くうなずいていた。
「うん!」
巨鳥による競争が盛んな山岳国家ラビーヌ王国で、国定競鳥騎手を目指す少年テオと、ラビーヌ王国に嫁ぎにきた少女・リーンが出会って、という空を翔る冒険物語の第二弾今回は、貴族を拐かす「三叉羽の幽霊」をテオたちが追いかけるお話です。
これは面白かったなあ。ようやく競鳥騎手になれたのに、「三叉羽の幽霊」のおかげで、レースが中止になってしまって、さらには「三叉羽の幽霊」がテオの技、直滑降を繰り広げたりしたもんだから疑われる羽目になってしまったら、そりゃ追いかけたくもなるわ。
それまで王宮で花嫁修業をしてたリーンもやってきて、みなで動き始めるところに、ワクワクするものがありました。
ただまあ、リーンは相手に心当たりがあって……というところから思い詰めたように動いてしまうのは、彼女らしくもありますが、水くさくもありますよね。巻き込みたくないといいながら、しっかり巻き込まれたテオですが、もちろん、そのことが嫌なわけはなく、むしろ黙っていたことに腹を立てて。リーンの引け目に、真正面から応えたテオの言葉が、胸を熱くしてくれました。
一方、幽霊の目的はについては、見えてくるにつれて、やりきれないものを感じましたけど、だからといって手を汚していいわけではなく、さりとて、一度、闇に傾いてしまった人たちの勢いは、たとえ間違いだと気づいたとしても留まることがありませんでしたが、国民を、国を守るために、自らの命を懸けて止めようとするリーンと、彼女を守るために飛び続けるテオの姿を見ていたら、この二人が、こういった少年少女がいれば、国というのは安泰なんじゃないかと思ってしまいました。
ふたりだけでなく、他の騎手たちや何よりわかりあえている友たちのバックアップがあってこその冒険劇が素晴らしかったです。
いやあ、面白かった。空を滑空するスピード感もさることながら、恋愛要素もたっぷりあるのがいいですよね。リーンとテオの微妙な距離感はもちろんのこと、イスカとララがあんなにもぎくしゃくするなんてなあ。
中でも一番キタのは、王であるシュアルとそのメイド、カルロッタの関係です。このふたりには結ばれてほしいと心から思いました。
二冊で完結というのは寂しいですが、すてきな物語を読めたことを感謝したいと思います。
バード・ハート・ビート 夜姫天炎! (ファミ通文庫)
伊東 京一
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