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[野村美月] “文学少女”と穢名の天使

遠子先輩がいきなり休部すると言い出した。なんと、これから受験に専念するというのだ。自分を引っ張り込んだのに休部だなんてと、先輩の勝手さを怒りながら、心葉は一抹の寂しさを覚えていた。
そんなある日、琴吹ななせが心葉に泣きながら相談をしてきた。彼女の友人である水戸夕歌が行方不明になったというのだ。彼女の泣き顔にいたたまれず、心葉は、琴吹と一緒に夕歌の行方を追い始めたが……

今回は「オペラ座の怪人」がモチーフですね。行方不明の歌姫を追っていくうちに、心葉が衝撃的な事実と向き合うことになるお話です。

遠子先輩が受験に専念するということで、出番が思いっきり減っちゃったのが、とても残念でしたが、その分、琴吹さんが頑張ってくれました。もうね、初っ端のクラスメイトにからかわれながら「別に井上なんか」という姿や、音楽教師の毬谷先生のからかいに、必死になって抵抗する姿がたまらなく可愛いです。
クラスメイトの示唆や琴吹さんの態度が、あれほどあからさまなのに、気づかない心葉くんは、どれだけ朴念仁なんだと思ってしまいますね。彼が書いた恋愛小説ってどんな話なのか、ものすごい気になる。

普段なら、遠子先輩が引っ張りまわして、事件にかかわっていくのに、今回は心葉くんが動くという珍しい展開なのは、琴吹さんのこともあるんだろうけれど、遠子先輩がいないという寂しさが動かしたんじゃないかな。
ただ、そういった行動が、他の人に偽善と受け止められたり、調べていくうちに、隠された事実を知ることになり、それをどう扱うかについて、迷う姿には辛いものがありました。

一番印象に残っているシーンは、辛いかもしれない真実を、自分は本当に知りたいのだろうかと自問する心葉が、琴吹さんだったらどうすると尋ねたとき、彼女が答えたところですね。感情が表に出まくって、強がってる印象があっただけに、芯の強さを思わせてくれる言葉には、心動かされるものがありました。
ついに琴吹さんと心葉くんの出会いについてもわかったし、このシーンは、とてもいい雰囲気でしたね。電話なんて小道具がニクすぎです。
個人的には、心葉くんには、遠子先輩がお似合いだよなあと思ってたけど、琴吹さんも負けてないですね。がんばれ!!

ひとつの道を示してくれた人が、実は心の奥底で、別の思いに囚われていたという事実は、あまりに残酷なものがありましたね。特に「ミウ」から逃げられない心葉からしたら、潰されるような思いだったでしょう。遠子先輩の言葉は「天使」に向けたものであると同時に心葉に向けたものだったんだろうなあ。
遠子先輩と「天使」の言葉に、心葉くんが新たな思いを胸にしたところは、とても良かったです。

今回のことで、心葉はまたひとつ、心の闇を消したと思いますが、最後に例の人が裏で動いてることがわかったので、まだまだ予断を許さない状態ですよね。真実は美しいものばかりでないということを知ったわけですが、これがもう一度、心葉に降りかかりそうだなあ。琴吹さんが、心葉くんの思いを胸に、動き出すようですが、どんな事実を浮かび上がらせるのか、読むのが怖いぐらいドキドキしてます。でも、早く読みたい!

“文学少女”と穢名の天使  - 野村 美月

“文学少女”と穢名の天使
野村 美月

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