Home > ライトノベル > [佐々原史緒] スイートホームスイート 4 世界で一番すてきな遺産

[佐々原史緒] スイートホームスイート 4 世界で一番すてきな遺産

「ヴァチカンはもう動いた」― その言葉を聞いたときから、アデルの様子は尋常じゃなくなった。夜な夜なまさかりを研ぎ、銃をバラしては組み立てと、ピリピリし続けている。城を守るためとはいえ、その様子を見ているのが辛くなった一彦は、何とか彼女を励ましたいと思ったが……

物の怪がはびこるフリューゲルトの城に、ヴァチカンが手を伸ばし始めて……というお話ですが、血で血を洗うような展開ではなく、コミカルな雰囲気はそのままだったので良かったです。
いつでも戦闘に入れるようにと、緊張感を増すアデルに対して、何とか気持ちを和らげてあげようとする一彦の行動がいいですね。うまくいかないことが多いんですが、言葉に込められた思いは、アデルにも伝わってるんじゃないかなあ。いつもにも増して、真っ赤になる姿には、ニヤニヤさせられますね。

政治的な駆け引きの妥協点から、ヴァチカンが監視としてセルゲイを送り込んできたことで、アデルの過去をあまりしらない一彦が、やきもきしたり、対抗して無理して頑張るところがわかるなあ。負けられないって気持ちになりますよね。惚れたらどうしたって弱くなる部分が出てくるし、逆に強くなる部分も出てくるのが、とても共感できるものでした。

いったいヴァチカンとどうすべきかと悩んでいるときに、よりによってな事件が起きるわけですが、フリューゲルトの名を汚すものであった以上、見逃せない気持ちは、今までのフリューゲルト城でのやり取りを見ていればわかりますよね。まさか日本へ行くとは思っていなかっただけに、ちょっと感慨深いものがありましたが、わりとあっさりなのね。
逆にいえば、一彦にとってフリューゲルトが自分の家になったんだろうなあと思いましたが、考えすぎかしら。何気にペラジーのイラストが可愛くて仕方なかったのは内緒。

己のミスから自己犠牲を投げかけるアデルに対して、家族という言葉を使ったフリートたちとのやり取りには、心が温かくなりましたね。物の怪たちの支えがあるからこそ、あの城は成り立ってるんだなあと実感させられます。思わず、良かったね、アデルと言いたくなる。
領主としての判断は、己の愛する人たちがいる場所を犠牲にするものであっただけに、苦渋のものがあったと思いますが、それでもあの言葉を、涙を流しながらもあの命令を出したアデルはカッコよかったです。

いやあ、ほんと面白かった。これからいろいろたいへんなことが待ち受けてるかもしれないけれど、ふたりなら乗り越えていけるよね。このふたりには、いつまでも、笑っていて欲しいなと思いました。
「世界で一番いらない遺産」が「世界で一番すてきな遺産」に変わって行くお話が、これで終わってしまうなんて残念でなりませんが、ハッピーエンドに微笑みながら、次のシリーズを待ちたいと思います。
オススメ。

スイートホームスイート4 世界で一番すてきな遺産 - 佐々原 史緒

スイートホームスイート4 世界で一番すてきな遺産
佐々原 史緒

エンターブレイン(文庫)
Amazon | bk1


booklines 関連エントリー
佐々原史緒 / ファミ通文庫 / ライトノベル

Home > ライトノベル > [佐々原史緒] スイートホームスイート 4 世界で一番すてきな遺産

Trackback:2

TrackBack URL for this entry
http://www.booklines.net/mt/mt-tb-t.cgi/1476
Listed below are links to weblogs that reference
[佐々原史緒] スイートホームスイート 4 世界で一番すてきな遺産 from booklines.net
スイートホームスイート(4) from Alles ist im Wandel 2007-03-01 (木) 19:54
スイートホームスイート 4posted with 簡単リンクくん at 2007. 3. 1佐々原 史緒著エンターブレイン (2007.3)通常24時間以...
スイートホームスイート4 from 読了本棚 2007-03-31 (土) 12:04
テレビクルーの取材を単に発し、衝撃的なロンドンでの騒動終結から2ヶ月。アデルは挙動不審を繰り返し、住人達は恐れ慄くばかり。一彦はアデルを元気付けようとひと...

Comment:0

Comment Form
Remember personal info

Home > ライトノベル > [佐々原史緒] スイートホームスイート 4 世界で一番すてきな遺産

Search
お気に入り

異形の王子と毒を吐く少女の恋の物語

4048700588

他人を寄せつけぬ毒を載せた言葉を吐いていた少女が、王子と伝承と出会ったことで、信じる思いを紡ぐようになる、その祈るような思いに涙しました。懐かしき人たちとの再会もまた素敵。→感想


それは血の繋がらない家族の物語。

4048700480

大きな山や谷があるようなお話しではないんだけれど、クセのある七人のきょうだいが共に暮らすその家には、じんわり温かい家庭がありました。それぞれ抱えているものはあるけれど、この家族ならきっと支え合いながら乗り越えてくれると信じてる→感想


それは「夢利き」が語る人の夢の物語。

夢の上(1) 翠輝晶・蒼輝晶 多崎礼

最高傑作級!辛くとも好きな人と共に歩める幸せ、あるいは人の夢に乗る幸せと切なさ。独立しながら、リンクする物語は、温かさに、人を想う気持ちに満ちあふれて、胸が熱くなる。人が人と出会うことの素晴らしさは、時に眩しくもあり、切なくもなるんだなと思いました。→感想


江戸時代。新たな暦を作る偉業を成し遂げた渋川春海の物語。

天地明察

最高傑作!碁打ちであり、算術家でもある男が、打ちのめされ挫折して挫折して挫折して、でも夢を忘れられず、立ち向かう姿に、どれほど興奮させられたか、泣かされたことか!さりげなく描かれる恋も素晴らしく、読み終わりたくないとこれほど思った作品はありません。 → 感想


左遷された北嶺で隠居生活を堪能しようとした史官ヤエトの前に、皇女が太守としてやってくるお話。

翼の帰る処 上 (1) (幻狼FANTASIA NOVELS S 1-1)翼の帰る処 下 (3) (幻狼FANTASIA NOVELS S 1-2)

中間管理職的苦労に悩まされるヤエトの姿がとても楽しいですが、それだけじゃなく、北嶺と帝国の歴史的秘密が見えてくる展開に興味を惹かれること請け合い!超オススメです!→上巻感想 / 下巻感想


普通の社会人であるこかげが、異世界の騒動に巻き込まれるお話。

wonder wonderful 上wonder wonderful 下

やさしさで涙する物語でした。あ、もう最高!王宮話やら恋愛要素やらも非常に楽しく、読み進めるにつれてゴロゴロ転がりまわりたくなること必至です!今年一番のオススメ!→感想 上/ 感想 下

なかのひと

Page Top