「私は自害などしないわ」
茜は強い口調でいった。
「何があろうと生き延びてみせる。生き延びること、本物の豊家の血を後に繋ぐこと。それが私に課せられた、ただ一つの務めだもの」
大阪夏の陣から八年。落ち延びた豊臣秀吉の孫・茜が、大阪で、豊家の隠し財宝を巡る陰謀に巻き込まれて行くシリーズの第二弾。今回は、実の母から聞かされた「身代わり」の話によって、茜のアイデンティティが揺れて行くお話です。
ああ、これは茜の成長物語なんだと思ったお話でした。
母の言葉は、目の前が真っ暗になるほどの衝撃を受けただろうし、多くの人の支えがあってこそ生きていられるという事を痛感して良くことは、揺れる彼女からしたら、とてもきついことだったと思うけど、敵対する存在を目の前にしたことで、自身の身体に流れる血を実感して行く、その展開が良かったです。
まだまだ彼女の行先は辛いけど、きっとこの誇りを持ってすれば、何より恋する思いがあれば、乗り越えていけるんじゃないかなと思いました。
大助から茜への思いというのは、まだ主従関係から大きく外れることはないと思うけれど、それでも血と思いを自覚した彼女の傍にいたら、きっと……と想像してニヤニヤしておく。
かつて、豊家によって家族を失った甲斐は、どうしたって一部視野が狭くなるか。茜に責任を求めるのは酷だと思うけれど、遣りきれない思いが溜まってるんだろうなあ。それでも、なんだかんだで手を組んで(といっていいのかしら)、未来を切り開いていくひとりとなるんじゃないかと思います。
「壱」ほど目立たなかったお龍と共に、どんな道を歩んでいくのか楽しみですね。
浪華疾風伝 あかね 弐 夢のあと(ポプラ文庫ピュアフル つ 1-2)
築山 桂
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