Home > ミステリー > [米澤穂信] 秋期限定栗きんとん事件(下)

[米澤穂信] 秋期限定栗きんとん事件(下)

「なあ常悟朗。俺は思うんだが、お前は結局、小市民じゃないんだよ」

いやあ、面白かった!一年の時を経て着地した場所は、やっぱりここだったんですね。

放火魔の追跡を、瓜野くんと小鳩くんの視点で語っていくうちに見えてくる犯人像に、ドキドキするものを感じたんのは、もちろん、小佐内さんの陰が見え隠れしてるからです。さりげない行動のすべてに意味があるように思えてしまうから恐ろしい。「あはっ」のときは、背筋が凍る思いでしたよ!
まあ、それすらも……ってのは、ほんと心憎い展開ですね。

一方の小鳩くんも放火事件を追うんですが、煮詰め方はさすがだなあと感心しつつ、やるせないのが仲丸さん話。あの状況でもにこにこできる小鳩くんは、ある意味怖かった。物事を客観的に見てしまうというのは、いいことなのかどうなのか……

小鳩くんの恋だけじゃなく小佐内さんの恋もそうなんだけど、どちらも一生懸命だったのに、一生懸命な方向がずれてて、結果として恋しきれなかったところが、小市民になれない所以なんだろうなあ。心痛むものはないわけじゃないけれど、そんな二人だからこそ、一緒にいるとしっくりくるんじゃないかしら。

最終章の小鳩くんと小佐内さんのやり取りは、ほんと良かった。何気ない言葉の中にみえる緊張感が素晴らしくて、そりゃ(言い方悪いけど)他の子じゃ代替にならないですよね。

栗きんとんに込められた意味や、最後に残された謎の答えを知るために小鳩くんが交渉する姿に、ニヤリとさせられて、ああ、楽しいなあと思ってたら、ラストでやられました。
収まるところに収まる一言が、ほんと素敵過ぎる。

秋期限定栗きんとん事件 下 (創元推理文庫 M よ 1-6) - 米澤 穂信

秋期限定栗きんとん事件 下 (創元推理文庫 M よ 1-6)
米澤 穂信

東京創元社(文庫)
Amazon | bk1


関連エントリー
[米澤穂信] [ミステリー]

Home > ミステリー > [米澤穂信] 秋期限定栗きんとん事件(下)

Trackback:0

TrackBack URL for this entry
http://www.booklines.net/mt/mt-tb-t.cgi/2966
Listed below are links to weblogs that reference
[米澤穂信] 秋期限定栗きんとん事件(下) from booklines.net

Comment:0

Comment Form
Remember personal info

Home > ミステリー > [米澤穂信] 秋期限定栗きんとん事件(下)

Search
お気に入り

超能力者との恋と青春!

超能力者のいた夏 (メディアワークス文庫) - 寺本 耕也

超能力者といっても何が変わるわけじゃない。ちょっぴり驚くことも多いけれど、寮生活を共にするうちに打ち解けあう姿がすばらしかった。みんな魅力的でこんな寮に住んでみたいと、そう思える青春ものでした。→感想


糖度パネエ!

悪魔のような花婿 (コバルト文庫) - 松田 志乃ぶ

悪魔伯爵と呼ばれた男に嫁入りした泣き虫姫の新婚ライフ。可愛らしくていじらしくて気恥ずかしくてニヤニヤして、喧嘩すら微笑ましい。読んでて砂を吐きそうになるぐらい甘いやり取りばかりだけど、羨ましくて楽しくて続きが読みたい。大好き。 → 感想


青春の下校ライフ!

484013250X484013426X

男一人に女の子三人で下校する。ただそれだけのお話なのに、楽しんでる様子が伝わってきてほっこり温かい。毎日一緒にいるのに、ひょんなことから意外な素顔を見て……みたいなのはいいですね。ほんのりある恋愛要素もニヤニヤです。→ 一巻感想 / 二巻感想


江戸時代。新たな暦を作る偉業を成し遂げた渋川春海の物語。

天地明察

最高傑作!碁打ちであり、算術家でもある男が、打ちのめされ挫折して挫折して挫折して、でも夢を忘れられず、立ち向かう姿に、どれほど興奮させられたか、泣かされたことか!さりげなく描かれる恋も素晴らしく、読み終わりたくないとこれほど思った作品はありません。 → 感想


左遷された北嶺で隠居生活を堪能しようとした史官ヤエトの前に、皇女が太守としてやってくるお話。

翼の帰る処 上 (1) (幻狼FANTASIA NOVELS S 1-1)翼の帰る処 下 (3) (幻狼FANTASIA NOVELS S 1-2)

中間管理職的苦労に悩まされるヤエトの姿がとても楽しいですが、それだけじゃなく、北嶺と帝国の歴史的秘密が見えてくる展開に興味を惹かれること請け合い!超オススメです!→上巻感想 / 下巻感想


普通の社会人であるこかげが、異世界の騒動に巻き込まれるお話。

wonder wonderful 上wonder wonderful 下

やさしさで涙する物語でした。あ、もう最高!王宮話やら恋愛要素やらも非常に楽しく、読み進めるにつれてゴロゴロ転がりまわりたくなること必至です!今年一番のオススメ!→感想 上/ 感想 下

なかのひと

Page Top