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[桜庭一樹] 製鉄天使

「そんでもって、生きることは、走ることサ。だろ、天使チャン達?あたしら暴走女愚連隊はよぉ、走ることでしか命の花、燃やせねぇ。そんならいっしょに走るだけだ。走って、走って、そんでもっていつの日か、みんなしてたどり着くのヨ。……えいえんお国ってやつにさぁ」

1980年代、鉄を支配する力を持ち、その力に突き動かされるように、レディース「製鉄天使」の総長となった鳥取県の製鉄会社の長女として生まれた赤緑豆小豆の駆け抜ける青春を描いた物語。赤朽葉家の伝説のスピンオフです。

これは面白かった。
一昔前のヤンキーマンガのようなノリで話が進むんですが、ただ激情に任せて走るだけという刹那的な生き方が、妙に心に引っかかって、気づけばのめり込んでいました。
鬼神のような戦いっぷりときっぷの良さ、恋にはちょっと不器用でと、とても魅力的な小豆が、仲間と共に勢力を広げていく様は、とても痛快で……その「えいえん」が続かなくなってく様子に、胸が痛くなる。

卒業と共に離れていくこと、純粋な目が大人のように濁っていく様などは、見たくなかったろうなあ。寂しさを紛らわすために、さらに戦いに明け暮れていく姿には、痛々しくて……ただ走ることが好きなのに、なぜそれができなくなってしまうのか。時の移ろいの残酷さが伝わってきます。

一番辛かったのは、スミレというマスコットの末路ですね。少女Aとなった彼女の話は、小豆にとってどれほどショックだったことか。やったことは許されることではありませんが、それでも親友のために動く小豆と、製鉄天使たちの疾走に、涙がじわりでした。

やがて彼女にも時の移ろいはやってきて。
焦りながら、恐怖を抱えながら、それでも決して歩みを止めず、最後まで走り続けた青春が素晴らしかったです。

いや、まさか、このお話でこんな感動を味わうとは思わなかった。

製鉄天使 - 桜庭 一樹

製鉄天使
桜庭 一樹

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