「これでわかったな、ティフェール」
祖父が向き直った。
「騎士の遺体と宝珠を守る。これは帝王からシェレツブーレ家に与えられた使命なのだ。ノイルに刻印されたのは、欠けている右手の宝珠だろう。世間にこのことが知られる前に取り戻さなければならない。私と、お前の手で」
奴隷上がりのノエルが、差別に負けず、仲間と共に「宝印」の使い手を目指すお話の第三弾。前作のラストで、仲間に裏切られたと思ったノエルと、ノエルの誤解を解くために動く仲間と、騎士の宝珠に纏わる謎が明かされる最終巻です。
人工的に宝珠を作り上げるというきな臭い話から始まり、モグラが潜入捜査しようとしたら……というあたりは、なんとまあ、ついてないことか。普段の信用の無さが、こういうところで出てしまうものなんですね。おかげでモグラが動けず、さらには校長に濡れ衣を着させることで、後ろ暗い輩が着々と自分たちの野望を進めていくんですが、まあ、そのあたりはいいとして、ノエルたちのお話ですよ。
裏切られたと思って、国を出るつもりだったのに、困った人がいたら見捨てることができないノエルや、シェレツブーレ当主の秘密を知らされて、家と友を天秤にかけなければならないティフェールは、自分のことしか考えていないと、それぞれが自分を責めてましてけど、実はそうじゃなくて。
弱くてもいい。迷うことがあってもいい。間違うことがあったら、正しい道を示してくれる、それが友達だよねと告げるウィリップの存在は、二人にとって、とても大きな支えになったんじゃないでしょうか。
仲間っていいなとツクヅク感じるところでした。
一方の大人たちの方面で大活躍したのが、誰であろうチェッツですよ。囚われし校長の願いを聞いて、あっちにいったりこっちにいったり、果てはピンチのときに、ヒーローのように駆けつけてくれて。可愛いだけじゃないんですね!チェッツの活躍には、思わず拍手したくなるものがありましたよ。
いやあ、面白かった。宝珠に纏わるお話は、悲しいものでしたが、ノエルとティフェールとウィリップがいれば、繰り返されることは無いですよね。喧嘩しつつも、仲間として力をあわせていく、三人の未来がどうなっていくのか、想像すると楽しくなってきます。
個人的に残念なのは、シイの思いがどうなってのかがわからなかったことですね。番外編の「晴れた日にはランチを」でも、正装したシイに対して、ついつい憎まれ口を叩いて怒られてましたが、まあ、照れ隠しでもあると思うので、いつかきっと……と思いたいです。
宝印の騎士 3 (3) (新書館ウィングス文庫 128)
西城 由良
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