体内に取り込むことで、様々な力を発揮する「宝印」を得たものの、指導教官たるモグラは、いまだ何も教えてくれない。しかも初実習にも参加するなという。理由ひとつ教えてくれないモグラに怒ったノエルは、こっそりと実習所へと忍び込んだが、そこではなんと、課題の相手となる火蜥蜴が暴走を始めていた。忍び込んだことがバレたことで、火蜥蜴の暴走はノエルの仕業という話が出始めて……
奴隷上がりのノエルが、差別に負けず、仲間と共に「宝印」の使い手を目指すお話の第二弾。今回は、見習いたちが演習をする際に扱う獣鬼達が暴走する謎を追う「ルトリティアの幽霊」と、かつてノエルの仲間だった少女シイがノエルを頼ってくる「小鳥のオルゴール」の二編+校長先生の飼ってるうさぎ・チッチリーナが三人の弟子と出会ったころのお話「レディ・チッチリーナと三人の弟子」が収録されています。
これは楽しいですねぇ。大貴族の息子ティフェールとティフェールの父のご落胤のノエル、気弱だけど心優しいウィリップの三人の間に、友情が育まれていくのが伝わってきます。特に今回はウィリップの頑張りが目立ったかな。
友達だと思っていたティフェールの態度に傷つきながら、でも諦めきれないところとか、ほんとティフェールのことが好きなんだなあと思わされます。こういう真っ直ぐな思いは、心惹かれるものがありますね。あの、誰に対してでも人を喰ったような態度を取るモグラですら、ウィリップにはかなわないんだからたいしたものです。
っていうか、ウィリップは男のはずなんですが、異常に可愛くて、どうしようかと思った。
一方、ティフェールは、別にウィリップを友と思ってないわけじゃないんですが、まあ、言葉は足りないし、愛想はないので誤解されても仕方ないところではあるかなあ。ただ、冷静に見えても、実は負けず嫌いで、特にノエルが絡むと、あんなに突っ走ってしまうんですね。このあたりのコンプレックスは、でもわかる気がするなあ。こういう子だからこそ、校長も弟子としたんでしょうね。
三人とも師弟関係は、まるで親子みたいで、なんとも心温まるものがありました。
そしてノエルは、相変わらずいじめられる日々が続いてましたが、それでも腐らないところがいいところ。いや、拗ねたりはするけれど、常に前向きなんですよね。ティフェールがノエルにコンプレックスを抱くように、ノエルもティフェールに対してコンプレックスを抱いていて。でもそれが暗い方向に行くのではなく、向かい合えば喧嘩こそするけれど、よきライバルとして切磋琢磨していくであろうことが見えるところが、とてもよかったです。
それだけに、二話目でのすれ違いは、心が痛むなあ。今まで虐げられてきたことが、こういう場面で出てきてしまうのか。信じる気持ちが大きかっただけに、ショックも大きかっただろうけれど、それでも……といろいろ思うところがありましたが、よりによって、こんな中途半端なところで終わるとは思いませんでした。しかもその次に収録されている作品は番外編だし!
途中で終わってしまった話が気になってしまったおかげで、ぶつぶつ文句を言いながら、チッチリーナの冒険を読みはじめたんですが……思いっきり和んでしまいました。
前作で三人によって、ちょっとひどい目に合って、ぷりぷり怒っていたチェッツが、だんだんと心を許していくところが、とても素敵。特にティフェールのあやす行為に(ちょっとだけだからね!)となでられに行く姿が、トンでもなく可愛い。くそう、このうさぎ、なんていいツンデレなんだ。
いやあ、いいなあ、この番外編。本編がシリアスになってるだけに、こういうのどかなお話は、和みますね。といつの間にか、不満がなくなってる自分がいることに気づきました。
最後に校長先生に対して、ツンとするチェッツが、大好き。
宝印の騎士 2 (2)
西城 由良
関連エントリー
[西城由良]
[宝印の騎士感想一覧]
[ウィングス文庫]
[ライトノベル]
Home > ライトノベル > [西城由良] 宝印の騎士 2
Trackback:0
- TrackBack URL for this entry
- http://www.booklines.net/mt/mt-tb-t.cgi/2222
- Listed below are links to weblogs that reference
- [西城由良] 宝印の騎士 2 from booklines.net







