駅前で、いかにも「執事」な外国人男性がティッシュを配っていた。裏に書いてある広告に目を通すと「乳母募集。性別年齢問わず」と書いてあったが、剛の目を引いたのは「時給五千円」という文字だった。高校生でも平気かと思って応募したら、見事受かったものの、肝心の面倒を見るお坊ちゃまは、何と剛よりも年上の18歳。知能も運動神経も高いが、超怒級のトラブルメーカーだったのだ……
時給に惹かれて乳母に応募したら、面倒を見る相手は、何でもできる天才だけど、常識とかは持ってない、ヨーロッパの小国の由緒正しき伯爵家のお坊ちゃまで……というお話。t-snowさんの感想に惹かれて読んでみましたが、バカだ、超バカだ(超褒め言葉)。あー、もう、楽しくて楽しくてしかたない。
なんせ執事のスミスが言うには、体罰オンリーで乳母していいって言うんですからね。どんな雇い主だ。始めは反発してたバブー(正式名称が長すぎて、みなバブーと呼ぶ)でしたが、実は剛は忍者なんだよという嘘を教わったら、尊敬の目で見たりするから楽しい限り。ああ、わかる。著者の言う「アホな外人イメージ」で書かれたってのがよくわかる(外人さん、すみません)。
そんなわけで、突拍子もないことばかりするバブーなんだけど、悪気があるわけじゃないから、困るんですよね。むしろ、人に対しては、誠実なところがあるので、剛としてもつい気を許してしまうのもわかります。問題はウェリントン家の人間はいるだけでトラブルを呼ぶという体質なので、周囲の人が大変な目に合うというだけですけど。いやあ、時給五千円でも大変なんてもんじゃないなあ。
目立ったおかげで、ウェリントン家のお坊ちゃまを狙った犯罪があって、それに剛の家族が巻き込まれてしまう展開でしたが、そこで光ったのは、バブーの速攻な決断や、知り合って間もないのに、剛への信頼が伝わってくる行動でしたね。ああいうことをさらりとやってのけるあたり、かっこいいと思うし、人が人についていくっていうのは、こういうところを見せられるからなんだろうなと思いました。いつしか剛もバブーのことを認めていくところが良かったですよね。
まるでかみ合わないように見えたバブーと剛でしたが、実はお互いにいい影響を与え合うコンビになってるってところに、運命の出会いを感じます(BLな意味じゃなくてだからね!?)。
ああ、良かったと思ったら、最後にうまい具合に落としてくれるから、バブーって大好き。悪い子にお灸をすえるなんて、楽しい「お仕置き」でしたね。今後も乳母として、バブーのしつけをしつつ、楽しくトラブルを乗り越えていってほしいものです。
パートタイム・ナニー (ウィングス文庫)
嬉野 君
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