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[前田栄] 死が二人を分かつまで(2)

「ヘルシングの一族は、人々を惑わし苦しめる闇の眷属を屠る力を持ち、総てを捨てて戦い続ける。何の褒賞も求めずに。君は、その血を持つことを誇りにしていい」
「誇りに?」
「ああ。君の体に流れているのは、あの御方に愛された一族の血だ」

吸血鬼の存在を感知できるミカエラと、ヴァンパイア・ハンターのJ.C.が吸血鬼退治に挑むシリーズの第二弾。今回は、オルゴールの暗示によって夢の世界に囚われたJ.C.をミカエラが助けに行くお話です。

いやあ、面白い。ミカエラ大活躍じゃないですか!
昏睡状態に陥った子爵家を訪れて、怪しいと当たりをつけたオルゴールの罠にあっさりとハマってしまうJ.C.は軽率じゃないかと思ってしまいますが、その不器用さが彼女の魅力でもあるから仕方ない。

そんなJ.C.を助けるために、自らJ.C.の心の中に入っていったミカエラがみたものは、ヘンリーとの出会い、ヴァンパイア・ハンター養成所との決別、カールを追う決意をした夜、といった具合に、彼女にとって大きな意味を持つ起点というべき過去で。
がむしゃらと言わんばかりの焦りと無謀さは、この過去があったからかと痛感させられる。

「あの決断は間違っていなかったのか?」という言葉が重くのしかかる過去でしたが、そんな彼女の迷いを優しく包むミカエラの言葉がよかったなあ。戦う力はないかもしれないけど、支える力の素晴らしさを思いました。

それにしても不思議なのは、ヘンリーの変容ですね。過去を見ると、かなり嫌なやつだったように思うんですが、何が彼を変えたんでしょうか。いや、J.C.が変えたのは間違いないんだろうけれど、このあたりのエピソードが気になるなあ。

それよりなにより、驚いたのはラストですよ。昏睡事件が終了して、あとは報告するだけってところで……あまりの展開にびっくりしたけれど、ミカエラに起こったことと約定と、いろいろ気になることが出てきたので、続きが楽しみですね。

死が二人を分かつまで〈2〉 (ウィングス文庫) - 前田 栄

死が二人を分かつまで〈2〉 (ウィングス文庫)
前田 栄

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