「戦いに犠牲はつきものだ。いちいち気にしてたら、身が保たない」
「……あなた、本当にヘルシング?」
ヘルシング……それは、ヴァンパイアを狩ることを生業にしている一族の名だ。
「ヘルシング以外に聖句を操るものがいるとでも?」
十三年前、ヴァンパイアになってしまった姉に感じた凍り付くような感覚に悩まされたミカエラ。まさか側にヴァンパイアがいるのでは……吸血鬼を感知できるミカエラと、ヴァンパイア・ハンターのJ.C.が吸血鬼退治に挑むお話。
これはなんと切ないお話なんだろう。
吸血鬼退治を依頼したときのJ.C.の様子には、ただならぬものを感じましたが、まさか十三年前、ミカエラを助けてくれたヴァンパイア・ハンターのカールとの間に、こんな事情があったとは……。
ヴァンパイアを倒すために闇の力を手にしたJ.C.の覚悟は、事情を知ってしまうと痛々しく思えて仕方なかったです。ヘルシングの血が見せる悲劇に遣りきれなくなる。
いわゆる人あらざるものとして登場したヘンリーとエリオットが見せる人間へ向ける感情は、あまりにも冷たいだけに、関わった人たちがどうなるかを考えると、うーん。タイトルが意味深に思えてくるなあ。
依頼主であるミカエラが何かの鍵になってくれたらと願いたくなる。
本編のあとに、そのミカエラを主役とした短編が収録されているんですが、こちらはとってもコミカルで楽しかった。それまで恐怖と緊張の対象であったヘンリーを言いくるめて、辻馬車代わりに使うわ、どう考えても人じゃないよねという屋敷の住人を小間使いするわ。しかもそれが天然で本人はまるで意識してないし、気づいてないから読んでる方はおもしろくてたまらない。
もしかするともしかして、彼女はこのシリーズで最強の存在になるんじゃないかと思い始めてきました。やべー、続きがとても楽しみだ。
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