Home > ライトノベル > [前田栄] 死が二人を分かつまで(1)

[前田栄] 死が二人を分かつまで(1)

「戦いに犠牲はつきものだ。いちいち気にしてたら、身が保たない」
「……あなた、本当にヘルシング?」
ヘルシング……それは、ヴァンパイアを狩ることを生業にしている一族の名だ。
「ヘルシング以外に聖句を操るものがいるとでも?」

十三年前、ヴァンパイアになってしまった姉に感じた凍り付くような感覚に悩まされたミカエラ。まさか側にヴァンパイアがいるのでは……吸血鬼を感知できるミカエラと、ヴァンパイア・ハンターのJ.C.が吸血鬼退治に挑むお話。

これはなんと切ないお話なんだろう。
吸血鬼退治を依頼したときのJ.C.の様子には、ただならぬものを感じましたが、まさか十三年前、ミカエラを助けてくれたヴァンパイア・ハンターのカールとの間に、こんな事情があったとは……。

ヴァンパイアを倒すために闇の力を手にしたJ.C.の覚悟は、事情を知ってしまうと痛々しく思えて仕方なかったです。ヘルシングの血が見せる悲劇に遣りきれなくなる。

いわゆる人あらざるものとして登場したヘンリーとエリオットが見せる人間へ向ける感情は、あまりにも冷たいだけに、関わった人たちがどうなるかを考えると、うーん。タイトルが意味深に思えてくるなあ。
依頼主であるミカエラが何かの鍵になってくれたらと願いたくなる。

本編のあとに、そのミカエラを主役とした短編が収録されているんですが、こちらはとってもコミカルで楽しかった。それまで恐怖と緊張の対象であったヘンリーを言いくるめて、辻馬車代わりに使うわ、どう考えても人じゃないよねという屋敷の住人を小間使いするわ。しかもそれが天然で本人はまるで意識してないし、気づいてないから読んでる方はおもしろくてたまらない。
もしかするともしかして、彼女はこのシリーズで最強の存在になるんじゃないかと思い始めてきました。やべー、続きがとても楽しみだ。

死が二人を分かつまで〈1〉 (ウィングス文庫) - 前田 栄

死が二人を分かつまで〈1〉 (ウィングス文庫)
前田 栄

新書館(文庫)
Amazon | bk1


関連エントリー
[前田栄] [ウィングス文庫] [ライトノベル]

Home > ライトノベル > [前田栄] 死が二人を分かつまで(1)

Trackback:0

TrackBack URL for this entry
http://www.booklines.net/mt/mt-tb-t.cgi/3239
Listed below are links to weblogs that reference
[前田栄] 死が二人を分かつまで(1) from booklines.net

Comment:0

Comment Form
Remember personal info

Home > ライトノベル > [前田栄] 死が二人を分かつまで(1)

Search
お気に入り

異形の王子と毒を吐く少女の恋の物語

4048700588

他人を寄せつけぬ毒を載せた言葉を吐いていた少女が、王子と伝承と出会ったことで、信じる思いを紡ぐようになる、その祈るような思いに涙しました。懐かしき人たちとの再会もまた素敵。→感想


それは血の繋がらない家族の物語。

4048700480

大きな山や谷があるようなお話しではないんだけれど、クセのある七人のきょうだいが共に暮らすその家には、じんわり温かい家庭がありました。それぞれ抱えているものはあるけれど、この家族ならきっと支え合いながら乗り越えてくれると信じてる→感想


それは「夢利き」が語る人の夢の物語。

夢の上(1) 翠輝晶・蒼輝晶 多崎礼

最高傑作級!辛くとも好きな人と共に歩める幸せ、あるいは人の夢に乗る幸せと切なさ。独立しながら、リンクする物語は、温かさに、人を想う気持ちに満ちあふれて、胸が熱くなる。人が人と出会うことの素晴らしさは、時に眩しくもあり、切なくもなるんだなと思いました。→感想


江戸時代。新たな暦を作る偉業を成し遂げた渋川春海の物語。

天地明察

最高傑作!碁打ちであり、算術家でもある男が、打ちのめされ挫折して挫折して挫折して、でも夢を忘れられず、立ち向かう姿に、どれほど興奮させられたか、泣かされたことか!さりげなく描かれる恋も素晴らしく、読み終わりたくないとこれほど思った作品はありません。 → 感想


左遷された北嶺で隠居生活を堪能しようとした史官ヤエトの前に、皇女が太守としてやってくるお話。

翼の帰る処 上 (1) (幻狼FANTASIA NOVELS S 1-1)翼の帰る処 下 (3) (幻狼FANTASIA NOVELS S 1-2)

中間管理職的苦労に悩まされるヤエトの姿がとても楽しいですが、それだけじゃなく、北嶺と帝国の歴史的秘密が見えてくる展開に興味を惹かれること請け合い!超オススメです!→上巻感想 / 下巻感想


普通の社会人であるこかげが、異世界の騒動に巻き込まれるお話。

wonder wonderful 上wonder wonderful 下

やさしさで涙する物語でした。あ、もう最高!王宮話やら恋愛要素やらも非常に楽しく、読み進めるにつれてゴロゴロ転がりまわりたくなること必至です!今年一番のオススメ!→感想 上/ 感想 下

なかのひと

Page Top