レノックスが、クリップフォード村で騒ぎとなった妖精騒動を調査しにいったころ、「同盟」の「総会」が行なわれていた。司会者が盟主再任の信を問おうとしたその時、現れたのは魔術者フィアカラだった。しかもフィアカラは、盟主の不審を言い立て、さらには、自分に着いてくればラノンに還れると言い出して……
フィアカラの口車に乗らされて、同盟が崩壊していくという「ミソサザイの歌」。疑うよりも信じることを重んじる妖精ならではですね。鉄牢に入れられたほどの罪を犯している人だってのはわかっているだろうに、それでも信じてしまいたくなるほど、ラノンに戻れるかもしれないという思いは大きいんですね。いやあ、まさかまさかの展開です。
今回最も印象的だったのは、ジャックが積極的に動こうとしてるところですね。今までも何かと「同盟」に手を貸していましたが、「僕が、何とかする」と言うとは思いませんでした。こういうところは、王族たる血筋を感じるなあ。「同盟」があってくれたほうがということもあるんでしょうけれど。
個人的には、本屋のお姉さんトマシーナがこっちサイドに、それもジャックの側に来てくれたのは嬉しかったりする。
嬉しかったといえば、アグネスの行動も良かったです。ラムジーが危険な目にあってるかもと思ったら、なりふり構わず、ロンドンを目指す姿は、もう可愛くて可愛くて。きっとラムジーを真剣に思ってることが伝わったから、ラムジーのお父さんも力を貸してくれたんだろうなあ。ロンドンでも活躍してくれたので大いに満足。
パラパラだった面子が一堂に会してくるところは、わかっていても気分が盛り上がってくるものです。いやあ、面白い。これは続きが楽しみでなりませんね。
それにしても、フィアカラのイラストがいい具合にイヤらしく思ったのは僕だけかしら。どうも口ひげな人 イコール イヤらしいという式が僕の中にあったりするのかもしれない。
ちなみにサイドストーリー的な感じで「この街にて」という短編が収録されています。ジャックとカディルが、こちらに来た当初のお話。文字通り、右も左もわからないときに、良い人に出会えるのは、運だとは思いますが、誠実な人であったからこそ、その後もいい付き合いができたんだと思います。
カフェの屋台アーニー。ジャックを雇ったエマ。
このふたりと出会えたのは、ジャックにとって大きなことだったでしょうね。さりげなくトマシーナとの出会いもあって、うふふ。
カディルが少しずつ変わっていく様は、行く末を知っているものとしてはちょっと辛かったですが、レノックスの涙もろさに、気持ちが和らぎました。レノックスみたいな人っていいですよね。
霧の日にはラノンが視える〈3〉
縞田 理理
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