ミオーネが、ダニエルの従者となってから一年半の時が経とうとしていたとき、ふたりは、ダニエルの盟友だったラドリと出会った。懐かしむダニエルとは違い、嫌悪を露にするラドリに、ミオーニは腹が立ったが、ダニエルに諭されて、しぶしぶコブシを下げる。ところが、町を一人で歩いているときに、そんな不満な相手と出会ってしまい、さらには自分がダニエルの足手まといであることを気づかされて……
浮浪児だったミオーネが、騎士ダニエルの従者として旅をする物語の第二弾。「瑠璃色の夜、金の朝」は、かつて、ダニエルが盟友だったラドリが、二人の仲を揺さぶって、というお話。
いやあ、いいですね。ミオーネのダニエル大好きっぷりが、たまりません。ダニエルを馬鹿にすることを言ったら、友人だろうと頬を膨らますし、ダニエルにかつて婚約者がいたと知ったら大慌てするしと、豊かな感情表現が可愛いったらないです。
そんなミオーネの心情を理解しながら、騎士見習い時に盟友としてダニエルの側にいたラドリが、かつての後ろ暗い思いを胸に、亀裂を打ち込んでくるんですが、ミオーネが自分のせいでダニエルに迷惑をかけているかもしれないと思ってしまう様は、読んでて辛かったなあ。泣かない子が、我慢に我慢を重ねて、思わず泣いてしまうシーンに子供らしさを感じながらも、胸が痛くなりました。イラスト可愛かったけど。
いつもは、朴念仁っぷりを発揮してくれるダニエルですが、悲しんでるミオーネを見て、さらにラドリに隙を突かれたことで、今までにない感情に気づいていくところには、やっぱりダニエルも!と嬉しく思いました。なのに、間違った方向に騎士道精神を働かせるんだもんなあ。思わず、そうじゃないだろ!と全力でツッコミしましたよ。
不器用な優しさがすれ違いを生んでいくところは、やっちゃった感がありましたが、最後の最後、ダニエルが自分の思いも含ませた上で、これからどうするかということをきっちりと伝えたシーン。素敵でした。ミオーネからしたら、ほんと天国に上る思いだったでしょうね。今まで流した中で、これほど嬉しさが伝わってくる涙はなかったと思います。繋がれた手の温かさが、そのまま胸に届いてくるようでした。ほんと良かったです。
本作には「瑠璃色の夜、金の朝」の他に短編として「薄荷色の貴婦人」というダニエルの妹シャーロットが、お兄様とミオーネに会いにきたという話があるんですが、これも面白かったですね。「瑠璃色の夜、金の朝」で、妹の逸話がちょこっと出てて、とても好感が持てたので、シャーロット話は、嬉しく思いました。
兄すら手玉に取る政治的手腕の持ち主が、ミオーネにちょこっと意地悪して、でもお気に召して、最後には爆弾を置いていってと、もう最高です。ああ、もっとこの人のいたずらは読みたかった。あわてるダニエルが読みたかった。これでこのシリーズが終わりだなんて……、ほんと残念でなりませんが、甘い気持ちに浸りたくなったら、また読み返してみたいと思います。
この著者はちょっと気になるので、他の作品も読んでみようっと。
瑠璃色の夜、金の朝―金色の明日〈2〉
甲斐 透
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