「その孤独な景色にさす、一条の光とおなりください。凍えた心以外のものを写してさしあげる力を、お持ちください。鏡の外には生きた世界が、自由の空が広がっていることを、思い出していただくそのために — どうか、変わらずに。それがいつか、兄君たちをお救いするやもしれません」
隠居願望を持つ病弱なヤエトが、放置区である北嶺に左遷されたら、太守としてやってきた皇女に副官を命じられて、日々倒れながら奮闘するファンタジーの第二弾。今回は、黒狼公と第二皇子の領土を荒らす、盗賊団を追ったら、未来視の力を持つ女と出会い……というお話。
これは面白かった!
前作のラストで皇女があんなことになってたから、どうなるかと思ったけど、普通に落ち着いてくれて、ホッとしつつちょっと残念に思ったりしましたが、それはともかく、ヤエトの切望する隠居生活は、ますます遠くなってきてますね(あとがきの「本格隠居願望ファンタジー」に吹きだした僕がいる)。
砂漠に向かえば予言者の言葉と沙漠の民の問題だけでも大変なのに、さらには第二皇子のところで、現代の陰謀と封印されしものの話を見てしまうんだから、他人事ながら「大変だなあ」と思ってしまいました。他人事だから楽しいんですけど。なんか、ヤエトが追いつめられていく姿って、面白いですよね(ひどい)。
ため息の回数が多くなるヤエトでしたが、そんな彼の心を軽くしてくれる皇女の存在がとてもよかった。からかったときの反応の可愛さと、前を向いてくれる姿と、人を明るくしてくれる資質と。かなわないと思ったヤエトの眼差しの優しさが、とても素敵でした。皇女の魅力がたっぷりだったので、皇女ファンとして大満足です。はい。
それにしても、ヤエトの皇女に投げかける言葉は、とても優しくとても温かいなあ。実は女たらしなんではないかと思ってしまうけれど、これが天然だから皇女も大変だ。
一方、陰謀の方では、まだ見えぬものがありますね。そもそも皇帝が何を考えてるかわからないしなあ。天地輪の意味については、なかなか重いものがありましたが、それが皇族ってことなのかな。直接関係がないように思える皇妹ですら、あの妖艶さだし。ゾクゾクさせられたけど、皇女にはああなあってほしくないです、はい。
ひとまず、今回の騒動を終えて、皇女側からしたら、第二皇子の信頼をちょっとだけ得ることができたってのが、大きな収穫に思います。まあ、皇女にたいしてなのか黒狼公なのかはアレですが、二人セットってことで認識して貰えたら万々歳じゃないかしら(僕的に)。
いやあ、面白かった。最後の最後まで一気に読まされてしまいました。
最後に、国を思うヤエトが呟く「国のなすべきこと」は、とても心に響きました。きっと皇女なら、この意志を継ぎ、さらなる高みを目指してくれるんじゃないかな。このふたりが作り上げる国を見てみたい。そう思いました。
オススメ。
翼の帰る処 2下 (幻狼FANTASIA NOVELS S 1-4)
妹尾 ゆふ子
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