楽しい旅行になるはずだった。リィリィと二人でいろいろな教会を見学し、いろいろな名物料理を食べ、いろいろな乗り物に乗って……アーダベルトとも、笑顔で再会できるはずだった。
なぜ、こんなことになってしまったのだろう。
魔女の養成学校である聖エレオノーラ女学院に通うキアラと、教皇庁の役人で力はあれどのん気で要領の悪いアーダベルトが、魔法の関わらう事件に巻き込まれていくシリーズの第二弾。今回は、夏休みにキアラが親友のリィリィと共に、アーダベルトの街へ遊びに行こうとしたら、列車事故に巻き込まれて……というお話です。
これは面白かった!
一巻は、わりと普通って感じだったんだけど、二巻になってからのサスペンス具合に一気読みさせられました。夏休みに入る前の、オルテンシア先輩やグイド親分の登場でクスクス笑わされて、さあ旅行というワクワク感たっぷりな始まりだったのに、列車の脱線事故ひとつでこんなになるとは……。
傷付いた人の手当をして、生存している人たちみんなで固まり、ちょっと傲慢な若造がリーダーシップを取って、救助隊が駆けつけてくるまで乗り切ろうとしたときに、ひとりの少女が行方不明になっていることからの変貌っぷりは、空恐ろしいものがありました。
みなの記憶が曖昧になる中、自分だけは正気でいるって……ゾクゾクする。
命の危険にさらされたところを助けてくれた人は、何とも奇妙なものでしたが、アーダベルトとの関係や、アーダベルトの過去など、いろいろ見られて、ふむふむとなりました。個人的にちょっとアレっと思ったのは、キアラがアーダベルトを意識していたことかな。前巻だとそんな印象を受けなかったので……まあ、事態が事態だったからというのもあるかもしれないけど。
脱線事故を引き起こした輩の策略により、キアラたちが陥れられて、楽しい旅行が逃走劇へとなってしまい、ちょっと悲しいものがありましたが、敵として動く人はまだ健在だし、さらにはその後ろにいるのが……これはヤバイことになりそう。
魔女の戴冠〈2〉 (幻狼ファンタジアノベルス)
高瀬 美恵
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