Home > 文学・歴史・その他 > 陽の子雨の子 / 豊島ミホ

陽の子雨の子 / 豊島ミホ

「好きなの?」
え、と思った。多分顔に出ていた。それを見てとったのか、雪枝さんは畳み掛けるように言った。
「違うでしょ?」

中学二年生の夕陽は、担任の先生の高校時代の同級生だという雪枝と出会い、彼女と連絡をとりあうような仲になった。他愛もないやり取りを経ていくうちに、女を意識しはじめるが、雪枝の家には十五歳の時に拾われて四年経つ男・聡が住み着いていて……というお話。

読み始めたときは、ちょっぴり危ないアバンチュールになるのかとおもったら、歪んでた。中学生と交流するまではともかく、自分と聡の関係を見せつけるとか、何を考えてるのかと思ったんだけれど、それぞれの微妙な壊れ具合を見ることができてから、どう動いていくのか興味を惹かれました。

わかっていても止められない雪枝には、「特別」なことを目指してしまう過去があって、そんな彼女の側にいながら気づけなかった聡もまた傷ついた思いがあったけれど、夕陽という存在が、彼らが目を背けていたところを露にさせたところは良かった。

ある意味、貧乏クジ……というと語弊があるか。彼自身、誘惑されたらそりゃついて言っちゃうぐらいの健全さはあったけれど、同時に清潔さを兼ねているのが思春期ってやつなんじゃないかな。雪枝に惹かれる思いもありつつ、かつてのクラスメイトをもう一度見つめ直すことができたのは、夕陽にとっても良いことだと思いました。
「りんご」の話は、心の中でころころと転がしたくなりますね。

陽の子雨の子 (幻冬舎文庫) - 豊島 ミホ

陽の子雨の子 (幻冬舎文庫)
豊島 ミホ

幻冬舎(文庫)
Amazon | bk1


関連エントリー
[豊島ミホ][一般]

Home > 文学・歴史・その他 > 陽の子雨の子 / 豊島ミホ

Trackback:0

TrackBack URL for this entry
http://www.booklines.net/mt/mt-tb-t.cgi/3715
Listed below are links to weblogs that reference
陽の子雨の子 / 豊島ミホ from booklines.net

Comment:0

Comment Form
Remember personal info

Home > 文学・歴史・その他 > 陽の子雨の子 / 豊島ミホ

Search
お気に入り

異形の王子と毒を吐く少女の恋の物語

4048700588

他人を寄せつけぬ毒を載せた言葉を吐いていた少女が、王子と伝承と出会ったことで、信じる思いを紡ぐようになる、その祈るような思いに涙しました。懐かしき人たちとの再会もまた素敵。→感想


それは血の繋がらない家族の物語。

4048700480

大きな山や谷があるようなお話しではないんだけれど、クセのある七人のきょうだいが共に暮らすその家には、じんわり温かい家庭がありました。それぞれ抱えているものはあるけれど、この家族ならきっと支え合いながら乗り越えてくれると信じてる→感想


それは「夢利き」が語る人の夢の物語。

夢の上(1) 翠輝晶・蒼輝晶 多崎礼

最高傑作級!辛くとも好きな人と共に歩める幸せ、あるいは人の夢に乗る幸せと切なさ。独立しながら、リンクする物語は、温かさに、人を想う気持ちに満ちあふれて、胸が熱くなる。人が人と出会うことの素晴らしさは、時に眩しくもあり、切なくもなるんだなと思いました。→感想


江戸時代。新たな暦を作る偉業を成し遂げた渋川春海の物語。

天地明察

最高傑作!碁打ちであり、算術家でもある男が、打ちのめされ挫折して挫折して挫折して、でも夢を忘れられず、立ち向かう姿に、どれほど興奮させられたか、泣かされたことか!さりげなく描かれる恋も素晴らしく、読み終わりたくないとこれほど思った作品はありません。 → 感想


左遷された北嶺で隠居生活を堪能しようとした史官ヤエトの前に、皇女が太守としてやってくるお話。

翼の帰る処 上 (1) (幻狼FANTASIA NOVELS S 1-1)翼の帰る処 下 (3) (幻狼FANTASIA NOVELS S 1-2)

中間管理職的苦労に悩まされるヤエトの姿がとても楽しいですが、それだけじゃなく、北嶺と帝国の歴史的秘密が見えてくる展開に興味を惹かれること請け合い!超オススメです!→上巻感想 / 下巻感想


普通の社会人であるこかげが、異世界の騒動に巻き込まれるお話。

wonder wonderful 上wonder wonderful 下

やさしさで涙する物語でした。あ、もう最高!王宮話やら恋愛要素やらも非常に楽しく、読み進めるにつれてゴロゴロ転がりまわりたくなること必至です!今年一番のオススメ!→感想 上/ 感想 下

なかのひと

Page Top