「お大事さんが、キュンってなりました」
「……は?」
彼女は益々恥ずかしそうに、今度は顔を覆った。私もつられて照れながら尋ね返す。
「お大事さんって?」
「あなたのスタートを応援する注目作家19人による掌編集」として、恋や夢や青春の始まりを、光原百合、三羽省吾、金原ひとみ、恒川光太郎、三崎亜記、中田永一、伊藤たかみ、島本理生、橋本紡、宮木あや子、柴崎友香、津村記久子、中島たい子、朝倉かすみ、藤谷治、西加奈子、中島桃果子、万城目学、小川糸の19人の作家が描いたショートストーリー集です。
好きな作家さんが結構いたので手を伸ばしてみましたが、200ページちょいで19人が参加してたら、一人当たりのページ数は10ページに満たないので、読んでみると流石に物足りないものがあります。ちょっとのってきたら、もう終わりって感じなんだモンなあ。
スタートラインってことで、何かしらの始まりを描くお話が多いですが、誰かとの別れから始まったり、あるいは二人で生きていくという決意をする始まりだったり、いろいろありましたが、飛び抜けて印象に残ったのは、宮木あや子「会心幕張」でした。お大事さんという言葉が奥ゆかしいかはさておき、あまりの超展開に笑いが止まらなかったですよ。ちょっぴりエロくて、思いっきり笑えて、スカッとしました。いえ、僕は始まらないですけどねと言い訳しておく。
この他、中田永一「恋する交差点」も素敵だった。交差点をわたる度に手を離してしまう男女は、一緒に生きて行けるのか不安になっていたけれど、離れても離れても追いかけてつないだ手は、まさに人生じゃないですか。素敵だなあと思うばかりです。
あと好みだったのは、恒川光太郎「海辺の別荘で」、島本理生「ココア」、中島たい子「おしるこ」、朝倉かすみ「とっぴんぱらりのぷう」ですかね。一つ一つの物語は短いので、ぱらぱらめくってみるといいんじゃないでしょうか。
スタートライン―始まりをめぐる19の物語 (幻冬舎文庫)
小川 糸 万城目 学
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