クラスメイトだったり、ちょっと気になる生徒だったり、先生であるお姉さんだったりと、女子高に通う女の子同士の友情とか、嫉妬とか、甘いものだけじゃない感情が見える物語が七編収録されています。
思わずきゅんときたり、にやりと笑ったり、やっぱり、この人のお話好きだなあと思いました。
以下、七編の感想をば。
「銀杏泥棒は金色」
好きなものを描けと言われた真面目すぎる美術部員の春が、銀杏泥棒した女の子に、絵のモデルを頼むお話。銀杏泥棒のシーンがとてもきれいで、春の目が惹かれるのがとてもよくわかる。自分語りが大好きなだけに、周囲の人にはあまり好かれていない銀杏泥棒さんなんだけど、彼女の語りを聞きながら絵を描いていくことで、春がより惹かれていく展開には、くすぐったくなるものがありました。
それだけに、銀杏泥棒さんの一言は、ズキッときましたが、おかげで、今までとは違った春の視点が見れるようになったのは、良かったんじゃないかしら。
希望の見える終わり方がとてもきれいで、続きが読みたくなるお話でした。
「ポニーテール・ドリーム」
真面目一辺倒のまま教師となったえみが、きれいに着飾った生徒の由貴に嫉妬を覚えるお話。あー、なんかわかる気がするのは、自分も真面目一辺倒だったからかしら(本当だよ?)。受験が終わったら、という言い訳とかもあったけど、結局そのままでしたね。やばいぐらいえみ先生の気持ちがわかったりする。校則違反を正しながらも、由貴の反論にあのころの気持ちを思い出して、ふと思い立ったように「かわいさ」を求めてしまう乙女心が、何とも可愛い。いや、危なっかしさもあるんですけどね。
ちょっとした痛みもあったけど、生徒との交流に温かさを感じました。この話好きだなあ。
「忘れないでね」
転校生が最も手っ取り早くクラスに友人を作るなら、爪弾きの子を選べばいいとは、なんとも意表を疲れた処世術ですが、幼いころから転校を繰り返した少女が、爪弾きの子を選ぶ癖が抜けないまま、クラスで浮いた子と仲良くなってしまったお話。
これはすごい痛い。はじめは、浮いた子と仲良くなることで、より新たなお話が生まれるのかと思ったら……。女子高というか、学校の中にあるさりげない悪意が目に見えて、さらに表では手をつなぎ、裏では突き落とそうとする心の動きが見えて、なんともはや。
自分は違うんだという思い上がりが導く自業自得ともいえるラストが、悲しくも心に痛い。
「ながれるひめ」
しっかりものの姉が教師をしている学校に、いろいろだらしのない妹が教育実習で行くことになったお話。姉妹であることをばらさないようにと姉がいうぐらい、あまり仲のよろしくない姉妹なんですが、教師という立場上致し方ないところもいろいろある気もする。っていうか、妹さん、流されすぎというか、目標無いまま動きすぎ。そりゃ姉さんだって怒るよ。
教育実習がなかなかうまくいかず、苛立ちを覚えるうちに、完璧な姉を持った妹の劣等感とかが見えて、ちょっとしたことから、思わず姉にぶつかったら、実は……ってところに、お姉さんのツンデレっぷりが見えて、すごい嬉しくなっちゃいました。
教育実習での迷いはまだまだあるけれど、ちょっとだけ肩の力を抜くことができたっていうラストが、とてもいい雰囲気でした。この話、一番好きかも。
「いちごとくま」
かわいこぶるのがとても似合うが故に集団から弾かれる女の子と、かわいくないが故に周囲から好感を持たれる女の子が、友達となったお話。「また、かわいこぶってるよ」みたいな感情ってのは、女だろうが男だろうがあると思うんですが、露骨に見えると怖いなあ。顔で笑って、裏で何かを言われることに怯える姿は、なんかわかる気がする。
思わずぶつけてしまった感情は……やり直せるものなら、やり直したいだろうなあ。
「やさしい人」
三十も近くなって、同窓会を開こうという話から、ふと高校時代に、こっそりと接点を持っていた子を思い出して、というお話。常に一歩引いてるような人だったから、気に食わなかったというのに、ちょっとしたことから、相手の内面を見て、忘れられなくなるというエピソードが素敵でした。
「ありがとう」じゃないよ。こっちが「ごめん」だよ。
そのときだけの繋がりかもしれないけれど、一生忘れられないだろうなあ。
最後に彼女の胸を占めた想いを思うと、切なくなるばかり。
「ゆうちゃんはレズ」
なんか、すごいタイトルですが、女子高で、部活の後輩に告白された先輩のお話。別段女の子が好きってわけじゃないんだけど、好き好き光線を浴びていくうちに、だんだんとその視線に、その距離に、ドキドキしていくところが、すっごくいいなあ。
でも、それは彼女が好きなんじゃなくて……というところは、相手からしたら残酷かもしれない。
あのときの散らかった部屋を、彼女は何日で片付けられたんだろうと思うと、チクリと痛い。
あー、面白かった。
中身はぜんぜん違うんですが、「マリみて」みたいと言ったらイメージがつかみやすいかしら。
女の子同士のちょっとした「特別」を感じたい人にオススメです。
そうそう。表紙が、なんていうんだろ。刺繍?みたいな感じのものでできてるので、書店とかで見かけたら、触ってみるといいかも。とてもかわいい。
リリイの籠
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