Home > ファンタジー > [田中芳樹] 蛇王再臨 アルスラーン戦記 13

[田中芳樹] 蛇王再臨 アルスラーン戦記 13

「どうやらペシャワールは無事らしゅうございます」
いくつかの報告をまとめてキシュワードがいうと、うなずく国王の顔を見ながら口を開いた者がいる。
「吉報を得たところで、陛下にお願いがございまして」
「何か、ナルサス?」
「ペシャワール城を放棄いたしたく、陛下の勅許をいただきとうございます」

後に解放王と呼ばれるパルス国の第19代国王アルスラーンと臣下の十六翼将が活躍する中世ペルシアによく似た異世界の英雄物語の第13弾。今回は、チュルク、ミスル、魔軍それぞれの中で動きがある中、パルスに衝撃が走るお話です。

いやあ、面白い。
チュルク国王がアルスラーンを暗殺すべく動けば、その目論見が己にも当てはまることが見えてきたり、ミスルでは客将軍のヒルメスが刻々と国を掌握し始めてたり(個人的にはパルスにこないのであれば、ヒルメスには頑張ってもらいたいと思ってる)と、それぞれの勢力の動きを見ながら楽しんでたんですが、やはりパルスにくると、一気に引き込まれてしまう。と思っていたら、いきなりの悲劇……。
会いたいという願いが叶ったことを喜ぶべきなのかもしれませんが、かの人が倒れたところでは、いったん本を閉じてしまうほどの衝撃がありました。未だに思い出すだけで、胸が痛くなる。

悲しくないはずがないだろうに、それでも公人として立つアルスラーンの姿がやるせないですが、弱音を吐けるような、安らぎを与えてくれるような人が現れてくれないかと願うばかりです。そういう点では、ヒルメスはいい出会いが多い気がする。

いろいろ動きがあって興味は尽きなかったんですが、ナルサス好きとしては、今回思いっきりにんまりさせてもらえたシーンがありました。チュルクや魔軍やら、周辺の国が、罠と知りながらも動かざるを得ない状況を作り上げてしまう策の悪辣さといったら、もう!

知恵というものの恐ろしさを改めて知り、さらには十六翼将が一堂に会して、もはやパルスは完璧かと思いきや、そうは問屋が卸さないから面白いんだ。ほんの僅かな綻びから、うざさはあれど勢力としてそれほどではなかった魔軍が一気に躍り出てきましたね。こうなるとパルスに絶望が走りそうですが、いや、でもナルサスはこのあたりも……というのは買いかぶりすぎかしら。
ああ、いったいどうなるのか、続きが待ち遠しくて仕方ありません。

蛇王再臨 アルスラーン戦記13 (カッパ・ノベルス) - 田中 芳樹

蛇王再臨 アルスラーン戦記13 (カッパ・ノベルス)
田中 芳樹

光文社(新書)
Amazon | bk1


関連エントリー
[田中芳樹] [ファンタジー]

Home > ファンタジー > [田中芳樹] 蛇王再臨 アルスラーン戦記 13

Trackback:0

TrackBack URL for this entry
http://www.booklines.net/mt/mt-tb-t.cgi/2685
Listed below are links to weblogs that reference
[田中芳樹] 蛇王再臨 アルスラーン戦記 13 from booklines.net

Comment:2

ジャラル 2008-10-19 (日) 14:49

ようやく(笑)出ましたアルスラーン最新刊。HPで「原稿は上がっています」という報告があっても、まだ信じられない人も多かったでしょうが(笑)。

ようやく揃った十六翼将、でもいきなり1将欠けます・・・パルスから見て外国人が3人いるのが伏線らしいです。以前田中先生が「蛇王は、ダリューンたちにとっては恐怖の存在であっても、(外国人の十六翼将)にとっては、ただの化物」である点がポイントという事をインタビューで書かれていましたから。

次巻が何年先か分かりませんが、気長に待っていきましょう。

deltazulu 2008-10-22 (水) 20:10

待ちに待ったって感じですが、贅沢は言いません(笑)

いきなり一人欠けたことよりも彼女が倒れたことのほうが、個人的にはつらかったです。アルスラーンを支える人は出てきてくれるのかしら。

次あたりアレが暴れそうなので、伏線の人たちがどう動いてくるか楽しみですね。

Comment Form
Remember personal info

Home > ファンタジー > [田中芳樹] 蛇王再臨 アルスラーン戦記 13

Search
お気に入り

異形の王子と毒を吐く少女の恋の物語

4048700588

他人を寄せつけぬ毒を載せた言葉を吐いていた少女が、王子と伝承と出会ったことで、信じる思いを紡ぐようになる、その祈るような思いに涙しました。懐かしき人たちとの再会もまた素敵。→感想


それは血の繋がらない家族の物語。

4048700480

大きな山や谷があるようなお話しではないんだけれど、クセのある七人のきょうだいが共に暮らすその家には、じんわり温かい家庭がありました。それぞれ抱えているものはあるけれど、この家族ならきっと支え合いながら乗り越えてくれると信じてる→感想


それは「夢利き」が語る人の夢の物語。

夢の上(1) 翠輝晶・蒼輝晶 多崎礼

最高傑作級!辛くとも好きな人と共に歩める幸せ、あるいは人の夢に乗る幸せと切なさ。独立しながら、リンクする物語は、温かさに、人を想う気持ちに満ちあふれて、胸が熱くなる。人が人と出会うことの素晴らしさは、時に眩しくもあり、切なくもなるんだなと思いました。→感想


江戸時代。新たな暦を作る偉業を成し遂げた渋川春海の物語。

天地明察

最高傑作!碁打ちであり、算術家でもある男が、打ちのめされ挫折して挫折して挫折して、でも夢を忘れられず、立ち向かう姿に、どれほど興奮させられたか、泣かされたことか!さりげなく描かれる恋も素晴らしく、読み終わりたくないとこれほど思った作品はありません。 → 感想


左遷された北嶺で隠居生活を堪能しようとした史官ヤエトの前に、皇女が太守としてやってくるお話。

翼の帰る処 上 (1) (幻狼FANTASIA NOVELS S 1-1)翼の帰る処 下 (3) (幻狼FANTASIA NOVELS S 1-2)

中間管理職的苦労に悩まされるヤエトの姿がとても楽しいですが、それだけじゃなく、北嶺と帝国の歴史的秘密が見えてくる展開に興味を惹かれること請け合い!超オススメです!→上巻感想 / 下巻感想


普通の社会人であるこかげが、異世界の騒動に巻き込まれるお話。

wonder wonderful 上wonder wonderful 下

やさしさで涙する物語でした。あ、もう最高!王宮話やら恋愛要素やらも非常に楽しく、読み進めるにつれてゴロゴロ転がりまわりたくなること必至です!今年一番のオススメ!→感想 上/ 感想 下

なかのひと

Page Top