不老不死不滅の属性を持つ能力者同士の戦いであるクイックハルトを、いつもなら夢中になって見ている良一だが、今日は集中して見ることが出来なかった。「昭和日本」から「平成日本」に移住してきた千早と親しくなり、連絡が来るかもしれないからだ。
こちらから連絡することも検討し始めた矢先に、妙なメールを受信した。意味不明な内容のメールを誤って実行した瞬間に、世界は一変し、そして元に戻った。だが、戻らなかったものがあったのだ……
著者の方から献本いただきました。ありがとうございます。
データ上の「ドライブスペース」で生活している人類という遠い未来の話ですが、「昭和日本」や「平成日本」という領域が舞台なので、話がわかりやすいです。はじめはハードな SF かと思って身構えてしまいましたが、一安心。
「昭和日本」から移住してきた千早と、「平成日本」にいた良一が、ひょんなことから出会ったところから物語が始まりますが、いやあ、いいですね。千早と出会ってからの良一が、とても面白い。気になる相手に対する期待感と異性に慣れてない感じが伝わってきます。ひょっとしたら連絡が来るかもとソワソワする姿は、想像するだけでニヤニヤしちゃう。青春だなあ。
そんなふたりの日常が、一気に転換する両親の件からの感情のリアルさに驚きました。大きな感情ってあとから一気に来ることがあるんですよね。
このシーンに限らず、心情が伝わってくる描写がうまいと思いました。不幸の手紙のシーンなんて、良一の恐怖感が凄かったですし。あのワンシーンは下手なホラーよりも怖かったので、そっち方面も読んでみたいかも。
最後の戦いはちょっと拍子抜けというか、ネタバレになりそうなんであれですけど、ほっと一息のあと、盛り上がりそうだっただけに、ふっと終わっちゃったのがちょっとね。あそこはもうちょっと、いろいろ書いて欲しかったかな。
個人的には、クイックハルトになってからの二人の生活に心が痛くなりました。やはりそっちの決意をすることになるよなあ。
新たな命を通じてでも、気持ちが伝わることはいいことなのか、それとも哀しいことなのか。立場は違えど近恵という現実もあったので、希望がないわけじゃないですが、どうなるのかと思いを馳せてしまいます。
ちなみに PowerBook G3 は、僕が始めて買った Mac なので、レイアさんに親近感ばりばりです。続編もいいですが、近恵さんやレイアさんの過去話も読んでみたいな。
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