西暦1998年にもなった今、錬金術師なんてものは、とても珍しい存在だった。その珍しい錬金術師の象山と魔女の典子を母に持つ御厨恵は、出自とは裏腹に、勉強も運動も得意ではなく、あまり目立つことのない中学二年生だった。平凡な毎日の中、父の作ってくれたホムンクルスの少女アナと戯れていたある日、エリカと名乗った美少女が、現れた。なんと、魔女としてひとり立ちするために、ドイツから遠く離れた日本の、しかも恵の家に同居するというのだ……
「来訪」という出来事によって、魔法が存在するようになった現代の日本で、冴えない少年の恵と、頭脳明晰でちょっとツンツンしてる上級魔女のエリカが出会って、というお話です。ボーイミーツガールものですが、家族ものでもあるかな。
思春期の男の子らしい妄想とかは、覚えがあるというか、共感できてしまうというか、読んでてこちらが恥ずかしくなってきますね。錬金術師である父親もくだらないことばかりしてますが、そんな象山の所業を見抜きつつ、そっと見逃してあげる典子さんの様子とか見てると、いたって普通の家族みたいな温かさを感じますね。こういう雰囲気がとても魅力的です。
エリカにしても、もっとも近くにいる男の子の恵に対しては、何かとツンケンするんですが、友人のために一肌脱いで上げたりするところは、普通の女子中学生って感じでしたね。ああ、なんかいい。
典子やゲーセンにいるような占い師のおばあさんなど、上級である自分よりも魔女として下位の人たちに対しても、年齢を重ねることの意味を理解して尊敬できるってところに、惹かれるものがあるなあ。
エリカ+御厨とその一家の物語だけじゃなく、呪いを受けた人や「来訪」と闇の王子の話など、同じ町で起きた別の人たちが絡む話なども語られるんですが、そのあたりは、ちょっと微妙だったかな。いや、一つ一つの話は面白いんですが、どうも繋がりにギクシャクするものがあって、うーん。
それはともかく、同居するうちに、何かしら惹かれあっていくのかしらとワクワクしてたら、今のところはそんな展開にはならないのが残念。でも、別の方面で、結ばれない相手との恋愛みたいなものもあったりして、ちょっとグスっときたり。
恵がエリカと、どうなっていくのかというあたりは、とても気になりますが、個人的にはアナとの関係がどうなっていくかのほうが気になりますね。
といいつつ、エリカがツンデレさんになったら、一気にエリカ派になってしまうであろうと、自分で予想しちゃうわけですが!
エリカの見る夢の意味や、恵の持つ力の話(恵はむしろ心中のほうが問題か?)、さらには最後に出てきたモノの話など、いろいろ気になるだけに、これからの展開が楽しみです。
福音の少年魔法使いの弟子―Good News Boy
加地 尚武
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