「それが、なにか?」
「べつに」
ちらりと和緒の横顔を見て、観雪はつぶやいた。
「関係ないの。関係なんか、あるはずがないのよ。だけど、彼女のことを犯人だと思っている人たちがいる。ただそれだけのことよ」
別嬪なロボットのなつみさんと共に、喫茶店をきりもりするアルバイターの宮城が、近所の中学校で起きた転落事故の関与を噂される少女を預かることになって……という青春ミステリー。
アリバイがあるにも関わらず、なぜか事件の関与を疑われて、逃げ出すしかなかった少女の境遇は、やるせないものがありましたが、ではなぜ少女は疑われているのか。というあたりを探っていく展開は、なかなか面白かったです。思ったことを素直に口にしてしまう秋水のトリックスターっぷりにニヤリとさせられる。
秋水に振り回される側の宮城でしたが、彼は彼で屈折……というか重いものを抱えていて、それが原因で人間関係がうまくいかないところもあるってのは、結構印象的でした。普段はそうでもないのに、一歩踏み込まれると構えてしまうというのは、程度の差こそあれどわからなくもないからかな。
事件のからくりはささいなことで、さくっと解決しましたが、少女の抱えていたものがきっかけとなって、宮城の心にあったつかえがとれていくという展開は、読後感を爽やかなものにしてくれました。
お話としては短いけど、面白かったです。
あー、タイトルはそういう意味だったのかと、読み終わった後に思いました。
ワイヤレスハートチャイルド (徳間デュアル文庫)
三雲 岳斗
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