「けど、それは迷信で……」
「迷信と違うわ。現に、うちの亭主は死んだやないの」
お香、お涼、お美和の三姉妹で切り盛りしている寺子屋「三春屋」は、貧しい家の子供のために、夜に一文稽古を行っている。今回は、お香の許嫁が帰ってくるという話があり、寺子屋の今後を思い悩むお話しが描かれます。
幸せって難しいな。時代が時代だけに、嫁に入ることこそ女の幸せという認識があるため、三春屋の娘さんたちに縁談を持ちかけてくる人たちは、親切な思いで言ってくれてるのはわかるんだけれど、それだけが幸せじゃないだろうと言いたくなるものもあって……人間関係がうざく感じるのは、こういうときかもしれない。お香はともかく、お涼はきついよなあ。
好きな人に寄り添うことが出来るのは嬉しくとも、そのために寺子屋をどうするかというのは、非情に悩ましいことでしたが、一文稽古で孫騒動が起きたことが、自分たちを見つめ直すきっかけになっていくところが良かったです。いや、あれはとても男の身勝手だと思いましたけどね。
学ぶということはどういうことか。
迷信と言いながら、振り回される人たちを諭す意味でも、学問の大切さを実感させられて、ああやっぱり三春屋って素敵だなと思いました。
いつまでも三人で居られるわけではないけれど、それでも、末永く三人でやっていってほしいなと思ったものです。お香はすぐにでも結婚するかもしれませんが、手伝いに来ることは可能だろうし……と思いながらも、慎介とお涼の関係に当てられたお美和が、もしかしてもしかするのかしらと思ったり。お誘いの結果が気になります。
Home > 文学・歴史・その他 > 夕月夜 ― 寺子屋若草物語 / 築山桂
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