恒山派の総帥たちを狙っていたのは、魔教ではなく、五嶽剣派の併合を企んでいた左冷禅の手のものだった。危ういところで、令狐冲たちは間に合ったが、そこで、魔教の前当主の娘である盈盈が、少林寺に囚われていることを知ってしまった。彼女には恩がある。そう思った令狐冲は、武林の中でも最高レベルを誇る少林寺へと向かって……
令狐冲に、会う人会う人が、始めは魔教と関わった者としてうさんくさく思い、剣の腕前と人柄に惹かれていくってのはいいですね。恒山派なんて尼さん集団の総帥たちにまで、気に入られてくってことは、ぶっちゃけ、嫌ってるのって、岳不羣だけじゃん。
で、少林寺に囚われの身となっている盈盈を、令狐冲が助けにいくというお話が始まるんですが、やっぱいいわ、盈盈。今まではただの強烈なツンデレってだけのイメージでしたが、令狐冲への思いをこれほどまでに感じるとは思いませんでした。
そういえば、令狐冲が少林寺に行ったとき、盈盈はどうしたんだろうって思ったんですよね。まさか、自らの命を賭けて、令狐冲を助けようとしたとは……。心打たれるばかりです。
これを知って令狐冲が動かないわけないですが、ここからの少林寺へと向かう旅のシーンが、個人的にすっごい好きです。みんなで力を合わせて助けようとするところもいいし、令狐冲のことをからかいながらも、盈盈と間柄について、温かい目で見守る人たちの空気がとてもいい。分かり合える男たちとの酒って、美味しそうですよね。酒飲めない僕が言うのもなんだけど。
ともあれ、少林寺に乗り込んだところから始まる怒涛のピンチがすごかったですね。まさに絶体絶命。一対一や一対多数なら勝てるのに、多数対多数だと、周囲を動かせない令狐冲の弱点とか見えたりして、如何に切り抜けるのかハラハラドキドキものでした。いやはや、運もあったけど、それはそれ。
何と言っても今回一番面白かったのは、少林寺の総帥である方証大師と魔教の前教主である任我行の戦いだなあ。圧倒的スピード感と迫力には、さすが、武林でも一、二を争う使い手同士の戦い!と手に汗握ること請け合い。
それに比べて、岳不羣ときたら……。令狐冲への態度といい、霊珊を利用しようとするところといい、さらに株が急降下。そんな師父でも、戻りたいと思う令狐冲の健気な姿は、可哀相なぐらい痛々しくてしかたないです。盈盈なる美しき人から思われてるってのに、霊珊に未練たらたらな姿は、もう……。雪だるまに書かれた文字の話は、実際にあったら泣くと思います。なんて残酷な。
武と恋と、両方ともうまくとはなかなかいかないみたいですが、がんばれと応援したくなります。
気孔流と剣術流の分裂の話や「辟邪剣譜」のルーツなど、いろいろわかってくるものがある中、最後は東方教主に喧嘩を売るところで終わるんだから、なんたる引きか!
秘曲笑傲江湖 5 (5)
金 庸
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