「お転婆をするのはかまわないけれども、それで周囲に迷惑をかけてはいけませんよ。人の二倍のお転婆をするなら、三倍品行方正にしなければ、誰も認めてくれないのです。わかりますか?」
「はい」
「それをわきまえてお転婆をなさい」
大正十四年。女は淑女たれという時代に、女学校に通う良家のお嬢様たちが、いけ好かない男たちを見返すため、野球を始めたお話の第四弾。今回は、大阪からやってきた乃枝の従姉妹・紅葉率いるアーミナ女学校との野球勝負を迎えようとする時に、チームメイトである静の父から、巴と静のどちらかが京都の呉服屋に嫁げという命令が来て……というお話。
お正月から始まる物語は、微笑ましいシーンが沢山ありました。野球を通じて縁ができた人たちの絆が見えてくるところがとても好きです。人当たりの良い小梅を中心とした人間関係ではあったけれど、いまやみんな同じ位置に属してますよね。野球に限らず、悩みを打ち明けることが出来て、それに応えてくれる人がいる。素敵な集まりだと思いました。
そうそう。ちょっとしたお転婆を見せていくうちに、お母さんや先生が、実は私もと昔話を打ち明けてくれるところも、個人的に好きだったりする。
巴と静に降りかかった出来事は、男尊女卑の時代を思わせるものでしたが、切り抜けるために野球で勝つことを提示していく展開が、ちょいとご都合かな。でも、皆が燃えるきっかけになりましたよね。これまでも負けないという思いはあったけれど、絶対に勝つという意気込みが、つらい練習を乗り越えるモチベーションになって、さらには乃枝の発明と、直接野球に関係ないようで、野球の上達に一役買ってくれる練習を繰り返していく。良い感じに準備万端じゃないですか。紅葉側とは違い、野球が好きという思いが見えるのもいいですね。
試合前までのお話しで今回は終わりでしたが、最後きな臭い出来事……。子どもの戦いに大人が入ってくると、何とも汚れたものを感じますね。彼女の迷いに、他の人たちが気づけるのか。大いに気になるところです。
大正野球娘。 4 (トクマ・ノベルズ Edge)
神楽坂 淳
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