「この着物要らない?」続く波江の言葉に私は眉をひそめた。
― この着物を着て、主人の浮気相手にあって欲しい
高校のころから、利用されているようなことがあったが、今回もまた菊子は断ることができなかった。
ため息をつきながらも、菊子は待ち合わせ場所へ向かったが……
300ページにも満たない作品の中に 12の物語がある。そこには愛と憎悪がたっぷり。
浮気をテーマにした物語ばかりなんだけど、この短い物語の中でこれほどの影を見せてくれる作家が他にいるでしょうか。だまされたことに気づいたときはもう遅い。
女性が仕掛けるちょっとした仕草に、時にゾクリとさせられ、時に愛しく思わせてくれる。この細やかな描写がたまらない。
しかもただ恋愛ものにとどまらないからすごい。
表題作「嘘は罪」の結末なんて、とんでもないどんでん返し。愛憎を描きながら、しかも短編で、ここまで衝撃を受ける作品なんてなかなか無い。これはもうミステリィといっても過言じゃない。
男性視点、女性視点といろいろあるけれど、純愛ってきれいなことばかりじゃないということを、きっちり描写してくれています。
甘ったるい恋愛ものよりも、影を含む繊細な恋愛もののほうがいいですね。
やっぱこの人はすごいよ。
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連城三紀彦
Home > 文学・歴史・その他 > [連城三紀彦] 嘘は罪
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