「キララ?」
外に出ても、やっぱり彼女の姿はどこにもない。閑散とした無人の船着場の風景だけが広がっている。
いったいどこに言ったんだろう。何も言わずに、勝手にその場を離れるなんて、今まで一度もなかったことだ。
最新技術を駆使して作られた人間と見分けがつかない、ちょっとドジッ子なメイドロボットのキララと、モニターとしてご主人様をすることになった侑平が、ちょっとした事件に巻き込まれて解決する、みたいなお話の第二弾。今回は以下の三編+ショートショート「雨の公園で出会った少女」が収録されています。
- みんなで海にいったとき、ひとり遭難状態になった侑平が、ようやく皆のところに戻ってきたら、キララの姿が見えなくなってしまい……「キララ、失踪す。」
- 息子の素行調査をしてほしいという依頼が叔母さんの探偵事務所に持ち込まれ、同じ大学のよしみで光瑠も仕事を手伝う「光瑠、探偵す。」
- キララのメンテナンス人であるミス・キャンベルが、男に脅されている?「キララ、赤面す。」
今回はキララと侑平の話というより、その周辺の人たちを描くお話というところでしょうか。「キララ、失踪す。」は、前作に近いんだけど、キララと侑平が分断されてしまっているおかげで、謎が深まったという感じでしたよねぇ。侑平がかき回さなければ、割合早く気づけたのでは?と思ってしまうのは邪推かしら。
快刀乱麻を見せたのが、キララではなく、その作成者であるミス・キャンベルってところに、にやり。
「光瑠、探偵す。」は、様子がおかしいという息子さんの素行調査を光瑠が手伝うんだけど、いやはや、このこもやや暴走気味なことするなあ。備考まではともかく、潜入操作までしちゃうんだからたいしたもんです。ところどころで、侑平に対するイライラが見えたりして、おやまあと微笑ましく思ったりもしますが。
息子さんが何をしていたかについては、比較的容易に想像がつきますが、そこで起きた殺人事件は、ちょっと予想外でした。っていうか、そこで仕掛けたトリックが予想外だったというかな。まんまとひっかかった例の人に合掌。
今回、何が残念かといったら、クララが登場しないことなんですが、それを補って余りあることをしてくれたのが、「キララ、赤面す。」でした。ダイナマイトボディな持ち主であるミス・キャンベルが、醜悪醜怪な男に連れられているのをみて、はてどういう関係かと思って、侑平とキララがこっそり後をつけたら……、まあ、脅迫とか何とかを想像しちゃう出来事があったりするわけなんですが、まさしく「赤面す。」ですよねぇ。
いったいあの男は何者なのか。という謎が明かされたときは、Oh,と思わず、声を上げてしまいましたけど、ま、それがアレならいいか。
ついでといっては何だけど、ロボットに人権はあるべきかどうか、みたいな話題があって、難しい問題なんだなあと改めて思いました。こういう話題が、さりげなく(エロエロな間に)語られるから油断できん。
面白かったは面白かったんだけど、個人的には、侑平とキララの物語を読みたかったので、そのあたりは物足りなかったかなあ。べ、別にクララとの夜のシーンがなかったから不満があるとかそういうんじゃないんだからね!
まあ、クララが出てこなくても、侑平とキララの間には、幸せそうな雰囲気があったので、今後はそちらをもっと見せてほしいなあ。
キララ、またも探偵す。
竹本 健治
Home > ミステリー > [竹本健治] キララ、またも探偵す。
Trackback:0
- TrackBack URL for this entry
- http://www.booklines.net/mt/mt-tb-t.cgi/2426
- Listed below are links to weblogs that reference
- [竹本健治] キララ、またも探偵す。 from booklines.net








