「ねえ、前から思ってたんだけどさ。気がつくとあんたに上手く、のせられてあんたの周りの人たち、無茶してること多いよね」
「あら、人聞きの悪い。占い師は、迷いのある方々に勇気を与えるのが仕事ですのよ」
騎士養成学校の卒業が決まったものの、就職は決まらぬ貧乏貴族の三男・ジョンは、卒業パーティで、魔道士養成学校の主席卒業生・マリーに酔った勢いで求婚したら、なんとOK!ところが彼女の実家は、王家筆頭の占い師であり、両親は首を縦に振らず条件を出してきた。それは二人の結婚費用一億を自分たちで用意すること。無一文から一億を稼ぐために、ふたりは賞金稼ぎとして、街の事件を追うことにしたが……という痛快冒険ファンタジーです。
これは楽しかった!
フワフワと世間知らずだけど、強かさも持ち合わせるマリーと、直感から事件解決の糸口を見つけるジョンのコンビが、難事件に首を突っ込んでは、いろんなところで痛快なことしてくれるので、楽しくて楽しくて。
しかも、この二人、実は卒業前から少なからず思いあっていたこともあって、初々しい反応と、照れながらもぎゅってしながら愛の言葉を紡ぎあうやり取りを見せてくれるから、ニヤニヤが止まらない。調査してるんだかデートしてるんだかと、楽しんだ僕がいる。いやあ、まさに一気読みでした。
ちなみに結婚反対してるお父さんがちょっとした悪戯を仕掛けてくれたお陰で、きゃっきゃうふふしながらも、二人は夜のお仕事をすることはできないんですが、この悪戯結果を、事件解決に最大限利用するあたりが、マリーの強かさだと思いました。動物の誘拐事件から幻獣レースに参加することになったときの一発逆転劇の面白さったらなかったです。
ふたりの様子もさることながら、ジョンに懸想してる女の子と、マリーに懸想してる男が、何とかしてふたりの結婚を妨害しようと、手を組むんですが、ま、こういうお話しの常として、いいところまでは行くけれども最後に失敗するという連続が、ちょっと可哀想でもあり、楽しくもあります。
一億をためるというのはとても大変なことで、まだまだ先は長いから、きっとこれからもふたりは冒険するし、そんなふたりを追いかける人たちも、何やらやらかしてくることでしょう。続きが楽しみでなりません。
ジョン&マリー ふたりは賞金稼ぎ (ハヤカワ文庫JA)
桝田 省治
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