西暦2598年。人類の殲滅を目的とする増殖型戦闘機会のET(エネミー・オブ・テラ)の攻撃により、人類は滅亡の危機に陥っていた。さらに時間遡行の技術を用いて、歴史から人類を掃討しようとするETの目論見を阻止するため、人類は、人間身体を元にした知性体をメッセンジャーとして過去に送り込んだが、ETの力を抑えることは出来なかった。そして、人類の存亡の最終防衛ラインである西暦248年にメッセンジャー・Oは邪馬台国に降り立ったが……
人類の存亡を賭けて、時間を遡りながらETと戦い続けてきた二十六世紀の人型人工知性体が、邪馬台国女王の前へと降り立って……というお話。
いやあ、面白い!時間を超えて戦うという展開もさることながら、メッセンジャーとなった知性体の葛藤や、邪馬台国の女王たる卑弥呼の思いなどに引き込まれるばかり。まさに一気読みな物語で、最後には大きな感動が待ち受けてるんですから、これを傑作と言わずしてなんと言おう。思い出すたびに鳥肌が止まりません。何でもっと早く読まなかったのかと、悔やむほど。
最も印象に残ったのは、オーヴィルの姿でした。感性を育てるべく、街中で行動していたオーヴィルが、愛する人を見つける展開は、これだけでもドラマですよ。サヤカという女性の魅力が、オーヴィルを通して伝わってくるだけに、別れが訪れるところは、心が痛むばかり。
ただ、過去へと渡ってメッセンジャーとして立ち回るオーヴィルの中に、サヤカと過ごしたことで培われた感性が息づいているのが伝わってくるところには、切なくなりつつも、嬉しかったなあ。
人類のために動いているメッセンジャーたちが、その人類に動きを阻まれたりする過去は、何とも心苦しい限り。邪馬台国まで遡ったということから、間に挟まれている22世紀、20世紀などの過去の戦いがどうなるかはわかるだけに、報われないオーヴィルの努力が痛々しく思いました。
今度こそはという思いが伝わってくる邪馬台国の場面では、オーヴィルよりも、卑弥呼が魅力的だったなあ。祭り上げられて、ただ散漫に毎日を過ごしていた彼女が、オーヴィルの姿から多くのことを学んで成長していくところがほんと良かったです。
そんな中、ETとの戦いは続くわけですが、ひょっとしたらこのまま……というところからは、もはや絶望しか見えなくて、一体どうするのかと手に汗握るばかり。
絶望の中、折れることなく啖呵を切りった彌与の姿は、非常に格好良かったですが、それ以上に素晴らしかったのは、絶望に陥った民を鼓舞した言葉でした。
「幢を立てよ!」
彼女が人々を奮起させる言葉に、どれほど興奮したことか!
王がいたからこそ、彼女の成長があったし、彼女の成長があったからこそ、邪馬台国が生き延びたのだと思うと、人との出会いこそが歴史を作っていくんだなと思う次第。彼女が本当の意味で女王になったのは、このときなんだと思います。
きっかけを与えるために彼女の前に現れた王の姿に涙。
いやあ、素晴らしく面白かった。これだけの物語を詰め込んでるのに、300ページ程度しかないなんて驚きです。大満足な一品でした。オススメ!
欲を言えば、各時代のお話や、他の登場人物のお話をもっと読みたかったかな。特にカッティ!きっと、別の人格が見えてくるに違いない。
時砂の王 (ハヤカワ文庫JA)
小川 一水
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- 印象的なタイトルと表紙の絵に惹き付けられた。 ただ、これまで読んだことのない作家







