軍の研究所には、肉体改造を受けたものが多数存在する。だが、戦争が終わると、彼らは危険な存在でしかなかった。誰にも必要とされず、隔離された場所で今までの研究を続けるか、それとも外の世界に行くか。人の役に立てる ― クリストファー博士の言葉を信じて、知能をもつネズミのウフコック、パートナーであり眠らない男のボイルドなど、9人と 2匹の面々は、マルドゥック・スクランブル 09 として実働し始めた……
あっという間に引き込まれますね。特徴的な文体ではありますが、リズムよく読むことができました。
力を持ちながらも、その力を発揮することができなかった面々が、活躍していく姿が痛快ですが、それだけではなく、文句を言い合いながらも、チームプレイが損なわれることがないという、仲間同士の信頼がいいですね。
個人的にはクリストファー博士が大好き。切れ味を感じさせるユーモアあふれる会話がたまらないです。
たまらないといえば、ウフコックの無垢さがたまらなくかわいかったですが、理解できないことには一生懸命悩み、誰かの役に立てるかもと思ったときには頑張る、その姿が素敵でした。
ただの人であるエリザベスと初めて交流を持ったときなんて、嬉しさがとても伝わってきましたね。
何といっても印象的だったのは、ウフコックを見つめるボイルドの目線が、優しさに包まれていることでした。自分が与えられた安らぎを返してあげたいと、ウフコックを大切に扱う姿に温かさを感じますが、先のことを知っているだけに切なくなります。
時折、描写される破壊的な衝動にドキドキです。
ここまででも、ひとつの物語として十分いけると思うんですが、実際のところはまだ序章に過ぎないというんだから驚きです。O9 と敵対する位置につくであろうカルト・カールとのやり取りが、今後のメインになるんでしょうね。
既に怪しい描写がいくつか出てきていますが、ここからどう崩されて、どう組み上げられていくのか。とても楽しみ。
マルドゥック・ヴェロシティ〈1〉
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