シェルの経営しているカジノの100万ドルチップを手に入れる―それがイースターとウフコックの策だった。気づかれたら隠し場所を変えられてしまう。ならばカジノに乗り込んで、勝ち続けていくしかない。
稼ぎを増やしていくにつれて、カジノ側の目も厳しくなってきた。カモのように見せかけていられるのも限界のようだ。最後のひと勝負に、バロットとウフコックはブラック・ジャックを選んで……
ディーラーに勝たされ、最終的に搾り取られていく。楽しんでいるといつの間にか陥るカジノの罠の恐ろしさが伝わってきます。ウフコックが味方にいると心強いことこの上ないですね。定石と確率と心理戦を駆使して、ディーラーを翻弄していくところなんて、相手がかわいそうに思えてくきます。
だからこそ、最強のディーラーであるアシュレイとのやり取りは、手に汗を握りました。何せ、最強コンビの二人でさえ、打開策が見当たらないのですから。
相手の思うままにしてやられ、息が詰まりそうなぐらい圧迫感をうけて、それでも逃げずに立ち向かい、目覚めていくバロットの感覚の鋭さには、鳥肌ものです。
ヒット、ステイ、ダブルダウン、そして最後の言葉を告げたあとのシーンでは、胸が熱くなり、少しの間、本が読めなかったです。
カジノシーンの盛り上がりがあまりにもすごかったので、以前に読んだときは、ボイルドとの対決が若干霞んでしまっていたんですが、今回はむしろここからの盛り上がりがすごかった。
同じように有用性を求めていたはずなのに、道を違えてしまったボイルドとウフコックの対決は、読んでいて心が痛くなります。
過去を思い出し、温かさを思い出し、それでも止まれないボイルドの思いは、O9の最後があったからでしょう。ウフコックへかけた最後の言葉にとても重いものを感じました。
やはりヴェロシティ後にスクランブルを読んでよかった。
ボイルドの最後の思いを読めて本当に良かった。
これはぜひとも続編が読みたくなりますね。構想はあるらしいので、期待したいです。
マルドゥック・スクランブル―The Third Exhaust 排気
冲方 丁
早川書房(文庫)
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冲方丁
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