二千メートルもの深海に五十センチと違わず 7 つのドームを設置する。
そんな技術ととんでもない人材を備えた御鳥羽総合建設へ持ち込まれた仕事は、
さらにとんでもないものだった。
「温度はマイナス百二十度からプラス百六十度。気圧は地上の一千億分の一。しかしある瞬間にはきわめて高い圧力がかかる。そういう場所で仕事をしてほしいのです」
「……それは、どういう……」
「あそこです」
その指が示した先に輝いていたのは月。
それは工期10年、予算1500億、建設地は月という月面開発計画だった……。
未だ宇宙旅行すらできない現代に、月で建物を建てる。
材料を飛ばすだけでも数十億かかるだけでなく、不確定な要素が多いその仕事。
それは第六大陸を作るに等しい。
順調に進む中、妨げるのは技術的困難。それが解決すれば政治的圧力が。
そして僅かな狂いから生じる事故。手のひらを返したように攻め立てるパッシング。
それらを乗り越える姿は、特に技術者たちの姿。見栄や体面なんて二の次。
それはライバルたちも同じ。まっすぐでそんな姿は興奮させられました。
きっと忘れられないと思います。
ページをめくることすらもどかしく感じたスピード感あふれる物語。
星雲賞受賞作全二巻。圧巻です。
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小川一水
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