どこからか聞こえてきた声で、目が覚めた。でも、視界に映るのは、灰色と白の世界。いったい……ああ、そうだ。私はミンクに変身していたんだ。よろよろと起き上がったときに、気づいた。ゲージに閉じ込められてる!しかも、目の前で商談を繰り広げているトレントが!このまま逃げることはできないのかと絶望に陥っていく中、トレントはさらに残酷なことを言い出して……
上巻の続き。腕は立つけど、ちょっぴりドジな魔女レイチェルが、大富豪トレントの犯罪を追うために、ミンクに変身して屋敷に忍び込んだら、あろう事か見つかってしまい……というところから始まる物語。
いやあ、面白かった。相変わらずドキドキさせてくれます。無力なミンクの姿で、逃げ道もなまま、いじめられつづけていたのに、決して心が折れない負けん気の強さがいいですね。ガンバレって応援したくなるものがあります。
それでも、ネズミ同士を戦わせる賭け試合に連れて行かれたときには、やばすぎるだろうと思ったけど、持ち前の機転と優秀な観察眼で、危機を切り抜けるところに喝采!
あれほど警戒していた相手なのに、アイヴィの姿が見れたときの安堵感がとてもよくわかる。ジェンクスの軽口も嬉しいものです。
トレントのところで出会ったバロンは、いい男なんだけど、ただの人間の割りに、何かと異界について詳しいので、微妙に怪しさがあったりする。まあ、怪しいという意味で言ったら、アイヴィにまで秘密があったことが見えてきて、思わず疑心暗鬼になったけど、でも、どっちを信用するかといったら、アイヴィだよなあ。いや、個人的にね。レイチェル視点だと、アイヴィは妖しい魅力満載だけど、心配する様子が結構伺えるので、お姉さん的気持ちを感じるので。
そんな状態でも、トレントを追おうとしたり、果ては「身を守るため」と黒魔法にまで手を出そうとするんだから、ああ、この子はもう!と、無謀な行動にヤキモキさせられるのは、前巻同様でした。
ここで、レイチェルを襲った出来事は、心身ともにきついことでしたし、悪魔に貸しを作る羽目にもなってしまいましたが、周囲の人の気持ちを知り、また推し量ることができたのは、よかったですよね。
このあとの彼女の行動には、今までにない思考が見えて、ああ、人というのは、責任から成長するんだなと思いました。
もう、レイチェルったら、いつもドジばかりなんだから!
という帯の言葉が、まさにぴったりな女の子が、幾度となく絶体絶命の危機を乗り越えて、仲間を増やし、立派な仕事をして、自分の居場所を作り上げていく展開が、素晴らしかったです。
いやあ、面白かった。こういう作品大好き。
どうやらこのホローズ・シリーズは、現時点で五作出版されているらしいです。これは、ぜひとも続きを翻訳してほしいですね。今後この三人がいる事務所にどんなトラブルが待ち受けているのか、この三人の関係がどうなっていくのか、すっごい楽しみです。
死せる魔女がゆく 下 [魔女探偵レイチェル]
ハリスン キム
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