Home > ファンタジー > 追憶のカレン クラッシュ・ブレイズ / 茅田砂胡

追憶のカレン クラッシュ・ブレイズ / 茅田砂胡

「わたしたちってなんて善良で、なんてお人好しの海賊なのかしら。呆れちゃうわ」
「今回ばかりはしょうがないだろう。人助けだ」
「だから、そこが既におかしいんじゃない。こんな命がけの人助けに精を出す海賊がどこにいるのよ」

手芸部の手伝いをしたシェラが、展示会で出会った少女と共に占いの館へと向かったら、その日から行方不明になり……というお話。

うーん、いつもほどの痛快さがないなあ。シェラが行方不明になったということで、若干重苦しい空気の中、リィとルゥがシェラ探しを始めていくんですが、顔が似ているという少年をして、シェラだと思い込むあたりは、ちと強引かなとも思わないでもない。

とはいえ、そこへ至るまでの道のりには、にやりとさせられるものがありますけど。警察だろうが、情報局の人間だろうが、手玉に取って追い詰めていく様は、楽しいものでした。力だけでなく、相手の社会的地位を脅かすリィの手段は、さすがとしか言いようがない。

肝心のシェラと思わしき男の子・アルフォンスは、辺境のクーア財閥と言われるレイヴンウッド家のお孫さんなんですが、これがまたかわいいんだ。リィを引っ張りまわすところは、大切に育てられた男の子らしい活発さがあって、おそらくシェラのことがなくても、あの事情を知ってしまったリィなら、何らかの手助けはしたんじゃないかなと思ったり。まあ、シェラのことがなかったら、こんな場所には来ないと思うけど。

彼らが集まる場所には、不思議と海賊や女王も集まって、といういつものパターンはありますが、いまいち見せ場がなかったのは残念です。あれだけのアクションをこなしたのに……。
もっと女王のクインビー姿とかに翻弄される軍を見たかった。海賊らしい海賊をするケリーの格好いい姿が見たかった。一流の感応頭脳をものともしないダイアナのハッキングが見たかった。いや、全部見れたんだけど、こう、なんていうか、時間稼ぎ役にしかなってなかったところが……ねぇ?

とまあ、いろいろ物足りないところはありつつも、今回珍しいものが見れたからいいか。あのシェラの本気の怒りは、たぶん、もう二度と見れないんじゃないかな。今後はたぶんリィから離れることなく、いつまでも太陽の周りを回る月のように、側にいてくれると思います。

追憶のカレン―クラッシュ・ブレイズ (C・NOVELSファンタジア) - 茅田 砂胡

追憶のカレン (C・NovelsFantasia か 1-50 クラッシュ・ブレイズ)
茅田 砂胡

中央公論新社(新書)
Amazon | bk1


関連エントリー
[茅田砂胡] [ファンタジー]

Home > ファンタジー > 追憶のカレン クラッシュ・ブレイズ / 茅田砂胡

Trackback:0

TrackBack URL for this entry
http://www.booklines.net/mt/mt-tb-t.cgi/2775
Listed below are links to weblogs that reference
追憶のカレン クラッシュ・ブレイズ / 茅田砂胡 from booklines.net

Comment:0

Comment Form
Remember personal info

Home > ファンタジー > 追憶のカレン クラッシュ・ブレイズ / 茅田砂胡

Search
お気に入り

異形の王子と毒を吐く少女の恋の物語

4048700588

他人を寄せつけぬ毒を載せた言葉を吐いていた少女が、王子と伝承と出会ったことで、信じる思いを紡ぐようになる、その祈るような思いに涙しました。懐かしき人たちとの再会もまた素敵。→感想


それは血の繋がらない家族の物語。

4048700480

大きな山や谷があるようなお話しではないんだけれど、クセのある七人のきょうだいが共に暮らすその家には、じんわり温かい家庭がありました。それぞれ抱えているものはあるけれど、この家族ならきっと支え合いながら乗り越えてくれると信じてる→感想


それは「夢利き」が語る人の夢の物語。

夢の上(1) 翠輝晶・蒼輝晶 多崎礼

最高傑作級!辛くとも好きな人と共に歩める幸せ、あるいは人の夢に乗る幸せと切なさ。独立しながら、リンクする物語は、温かさに、人を想う気持ちに満ちあふれて、胸が熱くなる。人が人と出会うことの素晴らしさは、時に眩しくもあり、切なくもなるんだなと思いました。→感想


江戸時代。新たな暦を作る偉業を成し遂げた渋川春海の物語。

天地明察

最高傑作!碁打ちであり、算術家でもある男が、打ちのめされ挫折して挫折して挫折して、でも夢を忘れられず、立ち向かう姿に、どれほど興奮させられたか、泣かされたことか!さりげなく描かれる恋も素晴らしく、読み終わりたくないとこれほど思った作品はありません。 → 感想


左遷された北嶺で隠居生活を堪能しようとした史官ヤエトの前に、皇女が太守としてやってくるお話。

翼の帰る処 上 (1) (幻狼FANTASIA NOVELS S 1-1)翼の帰る処 下 (3) (幻狼FANTASIA NOVELS S 1-2)

中間管理職的苦労に悩まされるヤエトの姿がとても楽しいですが、それだけじゃなく、北嶺と帝国の歴史的秘密が見えてくる展開に興味を惹かれること請け合い!超オススメです!→上巻感想 / 下巻感想


普通の社会人であるこかげが、異世界の騒動に巻き込まれるお話。

wonder wonderful 上wonder wonderful 下

やさしさで涙する物語でした。あ、もう最高!王宮話やら恋愛要素やらも非常に楽しく、読み進めるにつれてゴロゴロ転がりまわりたくなること必至です!今年一番のオススメ!→感想 上/ 感想 下

なかのひと

Page Top