「失うとわかっていて、出会えと言うのか!」
彼女は叫んだ。
「死に別れるために、出会えと言うのか!」
「人は誰でも一度は死ぬのです」
私の言葉に、彼女は顔を上げた。私はさらに力を込めて、言った。
「死に別れることを恐れて、出会うことの喜びを放棄してしまうのですか?」
本に意識を閉じ込められた<本の姫>とアンガス少年が、世界中に散らばった四十六の文字(スペル)を探し求める冒険物語の最終巻。崩壊を求めるレッドを追ったアンガスを悲劇が襲うお話です。
いやあ、面白かった!
希望と表裏一体である絶望を感じたときには、どうなることかと思いましたが、そこにやってきてくれたジョニー。あんた最高だよ。仲間の大切さを実感して、二つの物語のつながりが見えてきて、そしてアンガスの名に込められた言葉の意味を知って。
人の優しさと、世界の美しさと、未来への希望が見えるお話でした。いいものを読んだなあ。
中でも「歌」のイメージがいいですよね。アンガスたちがパニストンへ戻ってきたときの状況は、ほんと辛いものがあったと思いますが、焦る気持ちを抑えながら、争いではなく話し合うことで解決することを諦めず、姫の歌が絶望に陥っていた市民たちの心を奮い立たせるところが素晴らしかった。なぜこの本からは歌声が響いてこないのだろうと思ってしまうほどでした。思わずスタンダップって言いそうになったのは僕だけじゃないはず。
アンガスの思いが、セラやエイドリアンの思いが、パニストンを開放して、これで町が……と思ったときの悲劇は、過去話にも通じる絶望でしたが、絶望に囚われながらも這い上がってこれたのは、アンガス自身の心の強さもあるんだけど、仲間の支えというのも大きかったですよね。ひとりじゃない。そのことがつぶさに感じられるお話でした。
ああ、ほんと良かったなあ。最後のあのシーンで感じた世界の美しさは格別でした。自分を取り戻したら「姫」とはお別れになってしまうんですが、でも彼女はいつだって側にいてくれると思うと、寂しさを感じながらも、優しい気持ちになれますね。
大切な人と心を通わすことができたラストも素敵でした。
もっともっとこの人たちのお話を読みたかったなあ。全四巻にわたるお話でしたが、こうやってみると短く感じますね。ともあれ、存分に楽しませていただきました。次にどんなお話を見せてくれのかわかりませんが、きっと素敵な物語を見せてくれるに違いないと思います。期待して待っていようっと。
〈本の姫〉は謳う 4 (4) (C・NovelsFantasia た 3-5)
多崎 礼
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