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[夏目翠] 翡翠の封印

違う。
ここには力がある。それは生きていく力だ。もうすぐ死ぬのだから覚悟をなどと伝えるのは、その力を否定して、断ち切ったに等しい。
わたしがしたことは、そういうことだ――。

「死」が視えるセシアラと、彼女の美貌に惹かれながら、姉の死を予言した彼女に嫌悪して突き放した若き国王テオドリアスが、政略結婚をしたものの……閉ざされていた心が開き、恋が芽生えていくお話です。

いいなあ、こういうお話大好きです。

幼いころから、閉ざされた神殿で巫女のような役割を与えられていたセシアラは、他人の死を伝えるということがどういうものかわからず、テオの怒りを招いてしまうわけですが、自分に仕える元気いっぱいな侍女ミリィのころころ変わる表情を見て、感じて。そして国王は相手をしてくれないものの、彼女の薬師としての腕を知った城の者や騎士たちが、彼女の元へ足を運んでくれて。
人の生きる力を感じることで、少しずつ変わっていくセシアラの姿が、とても良かった。彼女の心をここまで動かした侍女のミリィには、心から感謝したくなりますね。サブキャラなんかじゃもったいない!

一方のテオ。お子様な国王だって設定だからって、スネては周囲の人の手を焼かすところは、困ったもんだと思うんだけど、ちょっとしたことから、セシアラを避けることができなくなって……そこからは、ベタ惚れ状態になってるところにニヤニヤしてしまう。

まあ、どちらも言葉足らずなところがあったり、特にセシアラは、自身の「力」を隠しているがゆえに、苦しみ迷う内にテオとのすれ違いが生まれてきそうになるんですが、思いつめたセシアラを包み込むテオの姿に、とても暖かいものを感じました。あのお子様っぷりはどこへ言ったんだ?といいたくなるほどの成長です。

この二人の恋愛物語だけで、とっても満足ではあったんですが、最後のほうはちょっとくどく感じたかなあ。二転三転はいいんだけど、いまいち盛り上がりに欠けるように思ったのは、戦闘シーンが弱かったからかしら。なんでやられないんだろうとちょっと不思議に思ってしまったら、ハラハラしなくなっちゃって。って、自分のせいか。

そんなこんなで、ラストの戦いは個人的に盛り上がらなかったものの、その後に待ち受けていたテオとセラの会話に、悶えさせられました。あー、もうお幸せに!

第4回C★NOVELS大賞大賞受賞作ということで、もっとファンタジーって感じのお話になるのかと思ったら、どちらかというと、少女小説といったお話でしたね。個人的には、もうちょっとシリアス方面に踏み込んでもらえると嬉しいんですけど、それでも十分楽しめました。続編あってくれたら嬉しいんだけどなあ。

翡翠の封印 (C・NovelsFantasia な 1-1) - 夏目 翠

翡翠の封印 (C・NovelsFantasia な 1-1)
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