「お前も考えたことがあるんじゃないか?」
姫の声が、夜の静寂に問いかける。
「文字の意志とは私の意志なのではないか、と」
本に意識を閉じ込められた<本の姫>とアンガス少年が、世界中に散らばった四十六の文字(スペル)を探し求める冒険物語の第三弾。今回は、なくした記憶を思い出すにつれて、不安を募らせる姫と、目の当たりにする幻に囚われ始めるアンガスのお話です。
相変わらずの面白さですね。文字に操られて、不満を抱えた村人たちの衝突を仲裁していくアンガスの様は、セラでなくとも、不安に思うけど、傷つきながらも、言葉を尽くして立ち向かう姿は、見ていて気持ちがいいんですよね。共に旅する人たちもそれぞれ活躍してくれて、仲間っていいなと思います。
中でもセラは魅力たっぷりで。口調はちょっとアレですが、それもまたよしと思ってしまう僕がいるのはともかくとして、アンガスのことが気になってしょうがないところが、とても可愛いですね。この二人のやり取りは、ほんと温かいものがあって、あと一歩で、というお約束は、ニヤリとしつつ可哀想にも思えちゃうんだから、僕自身、このふたりをどれほど気に入ってるのかわかるなあ。
まだ見ぬ未来を語るとき、見詰め合った二人のやりとりが、たまらなく愛しかったです。ああ、二人には幸せになってほしいと切に願いたいですが、どうなるんだろう。
一方のアルゼル物語。「大地の鍵」や本の成り立ちなど、いろいろ見えてきたあとに、天使たちとの戦いが始まって、切り抜けていけば切り抜けていくほど、不安が募っていくばかりで。
守りたい。
その思いが、なぜこれほどまでに不安を呼び起こすんだろう。
手を出してはいけない方向にまで進むリグレットと、彼女の思いを知りながら止められないアゼザルの様子が、とても辛かった。
どちらのお話もクライマックス直前ってところで終わってて、ああもう!と思わず、声に出してしまいそうになりましたが、ここから先は、不安ばかりが見えてしまって、ほんとドキドキです。
次なる最終巻がどういう展開を見せてくれるのか、楽しみに待っていたいと思います。
〈本の姫〉は謳う 3 (3)
多崎 礼
それにしても、この表紙のイラストは素敵過ぎる。
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