Home > ファンタジー > [多崎礼] <本の姫>は謳う 2

[多崎礼] <本の姫>は謳う 2

さて……前置きはこの辺にして本題に入ろうか。
この先はすべてホリーの息子―つまりはアンガスが、私に聞かせてくれた話だ。

本に意識を閉じ込められた<本の姫>とアンガス少年が、世界中に散らばった四十六の文字(スペル)を探し求める冒険物語の第二弾。今回は、アンガスの過去にまつわるお話です。

これは、面白かった!

アンガスの過去とは、セラでなくても気になるところですが、まさかこんなに孤独というか、辛い日々を過ごしていたとは思いませんでした。白き髪と青い目という「天使還り」の容貌は、アンガスにどれほどの傷を負わせたか……。「希望」で兄を失い、破れた夢を母に突きつけてしまったという重みを抱えていたら、そりゃ故郷から足が遠のくわけだ。
そんな重い足を運んで、ようやく故郷たどり着いたら、そこで待ち受けていたのは「忘れ病」を患った母と、伝統に縛られた村人だっていうんだから、やるせないったらないです。

それでも前を向くことができたのは、姫やジョニーといった仲間がいるからだろうけれど、幼いころに、同じ年頃の友達と語り合った日々も、大きな支えになっていたんでしょうね。そのあたりが見えてくるところが、とても良かった。

一方、アンガスのお話と交互に「俺」ことアザゼルのお話が語られていくんですが、今回はこちらの話にとても魅了されました。アザゼルという名を手にして、大地で新たな生活を迎えた彼が、少しずつ溶け込んでいく様がとてもよくて、さらにであった歌姫との恋が……。
叶わないとわかっていながらも、このままいってくれたらと願わずにいられませんでした。

それにしても、二つの話がリンクしながらも、どこかバラバラ気味だった1巻に比べて、今回は大分つながりが見えてきた感じがありますね。天使やスペルのつながりには、思わず大興奮させられました。

いやあ、ほんと面白かったなあ。さりげないワンシーンであっても、心を打たれることが多いので、どこをどう読んでも引きこまれるばかりなんですが、ここで、ここで終わるか!あー、もー!
アンガス側、アザゼル側、どちらも、愛する人との間に、切ない思いを繰り広げるという、ものすごくいい場面だっただけに、続きが気になって気になって仕方ありません。

超オススメ!

〈本の姫〉は謳う 2 (2) (C・NovelsFantasia た 3-3) - 多崎 礼

〈本の姫〉は謳う 2 (2) (C・NovelsFantasia た 3-3)
多崎 礼

中央公論新社(新書)
Amazon | bk1


関連エントリー
[多崎礼] [本の姫は謳う感想一覧] [ファンタジー]

Home > ファンタジー > [多崎礼] <本の姫>は謳う 2

Trackback:0

TrackBack URL for this entry
http://www.booklines.net/mt/mt-tb-t.cgi/2335
Listed below are links to weblogs that reference
[多崎礼] <本の姫>は謳う 2 from booklines.net

Comment:0

Comment Form
Remember personal info

Home > ファンタジー > [多崎礼] <本の姫>は謳う 2

Search
お気に入り

超能力者との恋と青春!

超能力者のいた夏 (メディアワークス文庫) - 寺本 耕也

超能力者といっても何が変わるわけじゃない。ちょっぴり驚くことも多いけれど、寮生活を共にするうちに打ち解けあう姿がすばらしかった。みんな魅力的でこんな寮に住んでみたいと、そう思える青春ものでした。→感想


糖度パネエ!

悪魔のような花婿 (コバルト文庫) - 松田 志乃ぶ

悪魔伯爵と呼ばれた男に嫁入りした泣き虫姫の新婚ライフ。可愛らしくていじらしくて気恥ずかしくてニヤニヤして、喧嘩すら微笑ましい。読んでて砂を吐きそうになるぐらい甘いやり取りばかりだけど、羨ましくて楽しくて続きが読みたい。大好き。 → 感想


青春の下校ライフ!

484013250X484013426X

男一人に女の子三人で下校する。ただそれだけのお話なのに、楽しんでる様子が伝わってきてほっこり温かい。毎日一緒にいるのに、ひょんなことから意外な素顔を見て……みたいなのはいいですね。ほんのりある恋愛要素もニヤニヤです。→ 一巻感想 / 二巻感想


江戸時代。新たな暦を作る偉業を成し遂げた渋川春海の物語。

天地明察

最高傑作!碁打ちであり、算術家でもある男が、打ちのめされ挫折して挫折して挫折して、でも夢を忘れられず、立ち向かう姿に、どれほど興奮させられたか、泣かされたことか!さりげなく描かれる恋も素晴らしく、読み終わりたくないとこれほど思った作品はありません。 → 感想


左遷された北嶺で隠居生活を堪能しようとした史官ヤエトの前に、皇女が太守としてやってくるお話。

翼の帰る処 上 (1) (幻狼FANTASIA NOVELS S 1-1)翼の帰る処 下 (3) (幻狼FANTASIA NOVELS S 1-2)

中間管理職的苦労に悩まされるヤエトの姿がとても楽しいですが、それだけじゃなく、北嶺と帝国の歴史的秘密が見えてくる展開に興味を惹かれること請け合い!超オススメです!→上巻感想 / 下巻感想


普通の社会人であるこかげが、異世界の騒動に巻き込まれるお話。

wonder wonderful 上wonder wonderful 下

やさしさで涙する物語でした。あ、もう最高!王宮話やら恋愛要素やらも非常に楽しく、読み進めるにつれてゴロゴロ転がりまわりたくなること必至です!今年一番のオススメ!→感想 上/ 感想 下

なかのひと

Page Top