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[茅田砂胡] サイモンの災難 クラッシュ・ブレイズ

役者の役作りの手助けをしてほしいと、熱意あふれる新人映画監督に誘われたヴァンツァーが、撮影現場へ見学にいったら、新人ながら主演に抜擢されたという女優アイリーンを紹介されたものの、それが変装したジンジャーであることに気づいて……という具合に、身分を隠したジンジャーが、とある無名の監督の映画に出演してたら、映画の撮影を妨害する輩が現れて、というお話。

いやあ、面白かった!ジンジャー最高!
宇宙中で知らぬものなどいないと言われるほどの大女優なのに、完璧な変装で、誰にも気づかれぬまま、オーディションに合格するあたり、さすがジンジャー。でも……意地悪だよなあ。
周囲の人は、新人のアイリーンだと思っているから、ちょっと生意気な少年が、助言というか、忠告というか、そういうことをしてくれたときには、思わず吹き出しそうになりましたよ。何と素敵な釈迦に説法。

こういう、自分だけが正体を知ってる状態から生まれる面白さは、クラッシュ・ブレイズシリーズの醍醐味ですよね。ああ、楽しい。

で、順調に進んでいた撮影が、弁当に中毒をおこす菌が混ぜられたり、監督が銃撃されたりと、何者かの手によって妨害され始めるんですが、ジンジャーとヴァンツァーが関わってたら、怪物夫婦や、金と銀、さらには漆黒たちも出てくるので、そうは簡単にやられるわけがない。っていうか、これだけの面子を突破できるヤツなんていねぇよ。

ただ、相手の思惑が見えないだけに、いろいろと後手に回ってたのが、今までとちょっと違うかな。事件の発端が、24年前の殺人事件らしいってことが見えてきてからも、電子化が進んでない時代の事件ってことで、さすがのダイアナも活躍できず、いつもの快刀乱麻さがなかったなあ。
……と思っていたら、まさかこっちからやってきてくれるとは!

ジャスミンたちの力を借りることなく、これらの事件にきっちりと片をつけたジンジャーが素晴らしく格好よかったです。こんなの目の前で見たら、間違いなく惚れますよ、ええ。

いやあ、面白かった。利益をむさぶろうとしたものには恐怖を、努力を続ける役者にはエールに見える笑顔が素敵でした。アイリーンの正体を知らずに、共演してた仲間たちは、最後に驚きまくったかもしれないけれど、この出来事が、きっとより高みへと歩んでいくための、きっかけになっていくんでしょうね。
名に惑わされず、真摯に自分の作品を作り上げて言った監督とジンジャーのやり取りは、思わずじわりとくるものがありました。
いつかまた、彼らが集まって、ひとつの作品を作り上げてくれたら……そう願いたくなります。

サイモンの災難 - 茅田 砂胡

サイモンの災難 クラッシュ・ブレイズ
茅田 砂胡

中央公論新社(新書)
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