エレメンタル近代美術館は、比較的歴史の新しい、しかし最大の美術館だ。絵の良し悪しなどさっぱりわからないリィは、そこで一枚の絵に釘付けとなった。「暁の天使」と題された近代の巨匠ドミニクの絵のモデルは、どうみたってルーファなのだ。さらにその絵には「まだ見ぬ黄金と翠緑玉の君へ」というリィへ贈るという遺言がしたためられていたのだ。
じゃあ、これは俺の絵かと思ったリィは、なんとか手に入れられないかと考えたが、父親のみならず、連邦主席や女王、はては海賊までも、あの絵を個人で所有することなど不可能だといい出して……
巨匠ドミニクの「暁の天使」を何とか手に入れられないかと悩んでいたら、その「暁の天使」が贋物とすりかえられる事件がおきて……というお話。
ああ、もう最高!何度笑い転げたことか。事件の知らせを受けたアーサーや海賊が、真っ先にリィを疑うところとか、如何にリィが常識的なことについて信用ないかがよくわかります。とはいえ、一度狙った獲物を逃すわけがなく、警察すら出し抜いて、相手を追い詰めていく展開は、いつもながら痛快ですね。
追い詰めたと思ったら、実は……の連続にはちょっと疲れましたが、最後の最後までリィはリィらしくて、楽しかったです。こうやって、リィに頭が上がらなくなっていく人が増えていくんだなあと思った次第。
それはともかく、今回一番目立ったのは、なんと言ってもアーサーでしょう。普段は、リィと喧嘩にならない喧嘩しかしてませんが、なんだかんだいって長男に甘いところを見せてくれます。リィに「お願い」されて「お父さん」と呼ばれて、舞い上がる姿に笑いが止まりません。何気に役者なところも良かったです。
おかげで、近年まれに見る被害に遭うことになりましたが、決して息子を責めず、むしろ息子を信頼して、ひとり行動するところには、「お父さん」の格好良さを感じました。
まだリィとの距離はあるみたいですが(マーガレット優先だし)、今後もガンガレおとうさん!
それと、個人的には教授がいい味だしてると思いました。はじめは子供に芸術なんぞわかるかと、ガンコ親父ぷりを見せてくれてましたが、最後に「天使」を見たとき、それを事実と思う柔軟さと過ちを認める姿が、格好いいぜ。
前作が物足りなかった分、今作のはじけっぷりは素晴らしかったですね。今後もこういうお話を期待したいところです。
そろそろ、海賊夫婦のお話が読みたいなー。
夜の展覧会 (C・NovelsFantasia か 1-47 クラッシュ・ブレイズ)
茅田 砂胡
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