龍族の大山脈に辿りつくには、大陸を移動しなければならない。だが、人族は許可なく大陸を移動できない。龍族を追っていたベルネは、大陸を移動する一番確実な方法 ― 傭兵になる決意をした。剣も握ったことがないベルネだが、傭兵集団「鋼の風」の団長ライゲンベックは、龍族との繋がりを得られるかもしれないと、ベルネの入団を許したが……
龍族、鳥族、犬族、猫族、人族、またその混血などが住む世界で、最下層である人族のベルネが、龍族と出会う旅に出るために、傭兵集団「鋼の風」に入団するところから話が始まる物語。
前作「龍族」では、各章ごとに龍族に関わろうとする人たちの視点で、物語が描かれていましたが、本作では「鋼の風」の団長、装填手隊隊長、鍛冶隊の下っ端、輜重隊隊長、伝令隊隊長、副団長が、それぞれの視点で、任務を果たしながら、ベルネ(団の中ではレスティ=厄介者と呼ばれてる)の成長を見届けるお話でした。
剣すらろくに振れない素人のレスティだけに、初めは足手まといに思われるんですが、指導を受けるにつれて、だんだんと必要な存在になっていく過程がとてもいいですね。レスティだけでなく、それぞれ世話をする人たちの仕事に対する誇りや、団に対する思いなども良かったです。
熱いものを感じるというよりは、渋さやしたたかな強さを感じさせられて、それでいて心奮わせるものがありました。いやあ、面白い。
誰も彼も魅力を持った人たちばかりでしたが、やっぱり一番魅力的だったのは、団長でしたね。がさつで短気で金にうるさいのに、親分肌なところがとてもいいんです。本人の物語よりも、他の人の目を通して、しかも通すたびに、その良さが伝わってきます。
そのことが一番伝わってきたのは、四話目のお話かな。傭兵団の雑用兼酒保(色を売る)隊の隊長ピコが出てくるんですが、隊をまとめるきっぷのいい姐さんでありながら、実は団長に……というところがわかるシーンがあるんですが、団長のエピソードとか聞いてると、わかる気がしますね。あれは惚れますよ、うん。
この人の文章は、どこか乾いたものがあるので、色っぽさはそれほど感じないんですが、それでも最後のシーンは、素敵だったなあ。
最後の賞は、団長や隊長レベルだけが持っていた「国」の意識を、末端まで知らしめて、しかも自分たちで守っていこうと意識を変えていくような展開に、グッとこぶしを握らされる熱さを感じましたが、最後の最後の出来事に驚愕しました。まさか、こんなところで!
ひょっとしたらこのことがきっかけで、レスティの運命が大きく動いてくるんでしょうか。それとも……?ああ、まったくわかりません。この引きは強烈すぎです!続きを!早いところ続きを!!
鋼の風 創世の契約 2
花田 一三六
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