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[伊坂幸太郎] フィッシュストーリー

「間奏ってのがあるだろ?それが急に途切れて、一分ぐらいしてまた曲が始まる」― 友人の言葉に興味を持って、私はその古いレコードを買った。普通にいい曲だなと思っていたとき、ふっと曲が消えて、ああこれが間奏中の無音かと思い当たったとき、突然耳に高い女性の悲鳴が聞こえて、恐る恐る声が聞こえた方向に足を伸ばしてみたら……

そんな表題作「フィッシュストーリー」を含む四編からなる短編集。
一編目である「動物園のエンジン」は、夜の動物園でくたびれた大人たちが、無駄話をしているという感じの物語でしたが、無意味な話題をひとつに持っていくという展開は、三題噺のようにほほうと思いましたが、ちょっと無理がありすぎたような。何より、あの独特のユーモアさが無いなあと思っていたら、デビュー直後の作品らしいです。なるほど。

とある村の昔から伝わる生贄に関する「サクリファイス」は、出来はいいのに、なんとも物足りないのは、非常にストレートなミステリだったからかしら。でも、おお黒澤がいる、と喜んでしまいましたが。

それより何より良かったのは、表題作の「フィッシュストーリー」でした。いい曲を作ったけど、売れなかったバンド。そのバンドが最後に作った曲を、十年後に聴いた人が遭遇した出来事、その子供が遭遇した出来事と、20年前、現在、30年前、10年後と、いろんな世代のちょっとした話が、繋がっていく展開は、独特の爽快感があります。こういうの、ほんとうまいよなあ。
こめられた思いが世界を救う。いいじゃないですか。

トリを飾る書き下ろしの「ポテチ」が、またいいんですよ。空き巣に入った家で、トラブルに巻き込まれたので助けて欲しいという留守電のメッセージを聞いて、というところから始まる物語ですが、お人好しな今村と、かつて彼に助けられた大西という女性の、投げやりなんだかいい加減なんだか、よくわからない熱心さと、何気ない会話が面白いほど笑えます。

いきなり突きつけられる事実は、ちょっと酷なものがありましたが、まあ、こういうこともあるよなあ、何て油断してたら、ラストでやられました。「ただのボールが遠くへ飛ぶだけのこと」に、ここまで感動させられるとは思わなかった。読み終わったあと、塩味とコンソメ味のポテチの話を思い返すと、胸に来るものがあります。
やっぱ、この人すげえよ。

フィッシュストーリー - 伊坂 幸太郎

フィッシュストーリー
伊坂 幸太郎

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Comment:4

chiro 2007-05-10 (木) 15:42

こんにちは~。
私はポテチが一番好きです。
ポテチのシーン、すごく良いですよね。
私はこれが初伊坂氏でしたけど(笑)、この爽やかさはいいな~と思いました。

deltazulu 2007-05-10 (木) 19:21

「ポテチ」良かったですよね。僕も好きなお話です。伊坂さんのお話は、いろんな方向に話が飛びますが、どれもすっきりとした気持ちにさせてくれるので侮れないです(侮ったこと無いですけど)。

伊坂さん好きとしては、ぜひぜひ伊坂さんにハマってほしいですね。

なんて事を書いてたら、もう一度読み返したくなってきちゃいました。本棚あさらないと……

miyukichi 2007-09-16 (日) 20:16

 こんばんは♪
 TBどうもありがとうございました。

 「フィッシュストーリー」も「ポテチ」も、
 とてもよかったですねー。
 私もこの2作が好きでした。

 ただ、「ポテチ」のラストは、
 私はちょっと理解できてないです^^;;
 なんだか唐突に切られて終わった、
 みたいな印象でした^^;;

deltazulu 2007-09-17 (月) 08:34

こんばんは。こちらこそ、TBありがとうございました。
「フィッシュストーリー」「ポテチ」共に良かったですよね。

> なんだか唐突に切られて終わった
ラストはイメージが良かったので、それで満足してましたが、お話としては、途中な感じがあったかもしれませんね。
ちょっと、うろ覚えなので、読み返してみようと思います。

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