諏訪ノゾミが事故で落ちた崖に花を添えようとしたとき、ぼくは眩暈を起こし、崖から落ちた。そのはずだったが、気がついたら、地元の公園のベンチで寝ていた。
周りの雰囲気がどこかいつもと違っていたが、とりあえず自宅に戻ったら知らない女性がいた。しかもこの家の者だという。彼女はどうやら生まれてこなかったはずの姉らしい。いや、逆だ。ここは「ぼくが生まれてこなかった世界」なのだ。
何より驚いたのは、ぼくの世界で死んだはずのノゾミに出会ったことだった……。
パラレルワールドものの青春物語。ミステリー要素もありますね。
序盤は「自分の知らない世界」に入り込んでしまった「ぼく」ことリョウの戸惑いがいろいろ見受けられますが、割合早く抜け出せたのは、もともとの性格もさることながら、姉にあたるサキの明るさが大きいですよね。
初対面の人にあそこまで踏み込めるかといったら難しいと思うけれど、異性より近く、家族より遠いという微妙な距離感が、家族には言えないことを言えて、異性には言えないことも言えるという微妙なところを生み出したのかなと思ったりします。
それにしても、自分と姉の世界の違いは、ふたりの行動の違いから発生しているという皮肉が痛い。ひとつひとつは些細なことなんですが、受け手からすると大変なものでしょう。じわじわと心に染み入る痛みが辛かった。何でもないように装っているからなおさら。
だからといって、姉に対する感情に疎ましさはなかったと思う。純粋に、ただ純粋に彼が言ったとおりだったんだろうなあ。目を逸らさなかったのがその事を物語っていると思いました。
一番衝撃的だったのはやはり最後の一行ですね。引き金はどちらに向かって引かれたのか、何てことは想像するまでもないでしょう。ボトルネックなのだから。
読み終わったあと、じわじわときていた痛みが一気に押し寄せてきました。切なさに胸がいっぱい。
文句なしで米澤穂信の最高傑作。はげしくお勧めです。
ボトルネック
米澤 穂信
追記: サイン会に行ってきました!

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- 著者:米澤穂信 ボトルネック価格:¥ 1,470(税込)発売日:2006-08-
Comment:2
- LGA775 2006-09-18 (月) 15:11
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はじめまして。
ボトルネックの書評を検索している中で、拝見させていただきました。
仰るとおり、かなり心が痛くなる作品でした。
特に偶然なのですが、この本を道中読みながら、金沢に旅行へ行ったので、曇天だったのもあったせいか、かなり暗い気分になってしまいました。個人的には「クドリャフカの順番」のエンターテイメント性の高さに惹かれるものがあるので、そちらに今のところ最高傑作の名をあげたいのですが、管理人さんは「ボトルネック」のような展開が好きなのでしょうか?
- deltazulu 2006-09-18 (月) 19:50
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古典部シリーズはぼくも好きで、エンタテインメントという点では「クドリャフカの順番」を推します。ただ、ボトルネックは展開もさることながら、最後の一行の破壊力にやられました。そのあたりが好みですね。







