「だったら離れなさい。あんたのためでもあるのよ」
一際強い口調でビッキは言い切った。
「あんたとジゼットは全然種類の違う人間よ。あんたが彼を追っ掛けて同じ町に来たみたいだけど、このまま傍にいたらお互い不幸なことになるわ。後悔する前に身を引きなさい」
沙漠に水をもたらすシムシムの種子を植える町を探す「シムシムの使者」だったラビサと、彼女の旅路を付き合ったジセットが繰り広げる冒険シリーズの第六弾。今回は、カヴルの再出発を邪魔するものが、「砂嵐の後継者」を名乗って……というお話。
相変わらずひとり突っ走ってしまうラビサですが、ジゼットがかつて滞在していた遊動民の一族と出会って、これまでとは違う形で壁にぶつかるようになったのが印象的ですね。
ジゼットを婿候補として考えている遊動民の女族長ビッキの言葉は、たしかに一理あって、彼女の頑張りというものは、周囲を引きつけるものではあるけれど、そこには甘えがないわけじゃない……けど、そこで駆け引きとかするようになっちゃったら、ラビサの良さが消えちゃう気もするしなあ。
いろいろ難しいことだと思うけど、厳しい言葉にへこみながらも、目の前で一族を率いるビッキの姿勢をみて、感じることがあるのはいいことだと思います。ビッキがラビサを認めてくれることがあれば、いいお姉さんになってくれるんじゃないかなーと思うんですが、さて、頑張っていけるかしら。
にしても、ラビサはかなりジゼットを意識するようになりましたねー。好きなのかもしれないと素直に認めつつあるところにニヤニヤしてしまいますよ。
ラビサは婿候補話を聞かされて、ジゼットはジゼットで、ビッキの従兄のゼクスがラビサにちょっかいを出す姿を見て。お互い嫉妬しあって、思わずムキになってしまうあたりは楽しかったなあ。
それだけに、ラビサとジゼットがこれまで生きてきた背景の違いが生み出す距離感にやるせなくなりますが。
戦う力を得ることを強さと呼ぶか。甘えてしまうことを弱さとするか。
心情的に難しいのはわかるけど、間違った方向へ足を踏み出す前に、なんとか踏みとどまってほしいですね。
それにしても星読みの徒の動きが一気に不穏になってきたなあ。このあたりもボタンのかけ違いが生まれてきそうで、ドキドキです。続きが楽しみ。
沙漠の国の物語―あざなわれし者 (ルルル文庫)
倉吹 ともえ
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